Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

言葉が大事にされない社会は、人間を大事にできない

2012-08-30 | Weblog
29日参院本会議で可決された野田佳彦首相問責決議の文は、問責理由として、まず「野田内閣が強行して押し通した消費税増税法は、2009年の総選挙での民主党政権公約に違反するものである。国民の多くは今も消費税増税法に反対しており、今国会で消費税増税法案を成立させるべきではないとの声は圧倒的多数となっていた。最近の国会運営では民主党、自由民主党、公明党の3党のみで協議をし、合意をすれば一気呵成に法案を成立させるということが多数見受けられ、議会制民主主義が守られていない。」……自民党はこの問責に名を連ねている(公明党は加わっていない)。ということは、自民党は完全に「自己否定」しているわけだ。「自分たちは議会制民主主義を守らなかった」ということだ。その後の文に「参議院で審議を行う中、社会保障部分や消費税の使い道等で3党合意は曖昧なものであることが明らかになった。国民への約束、国民の声に背く政治姿勢を取り続ける野田佳彦内閣総理大臣の責任は極めて重大である。」とあるが、その曖昧な合意のまま消費税増税を強行した罪を、自民党も背負わねばならないだろう。民主党のせいだけにしていてどうする。彼らのダメさ加減はとうにわかっているが、この理屈の通らなさは、なんだ。最低限の「言葉に対する信用」を失った社会は、崩壊しているも同然だ。そして、やはり気になるのは、若い世代の政治や社会に対する不信感はもう限界を超えていて、社会の仕組みそのものがまるで機能しなくなっているのではないかということである。……仲井真弘多沖縄県知事はオスプレイの普天間配備について森本防衛相と面談。この人はモロッコでのオスプレイ墜落事故調査を「人的要因」と言いつのる日本政府に対して「日本政府が責任をとれるのか」と言うが、ヘンだろう。責任を取ってくれるなら事故が起きていいのか。事故が起きるかもしれないようなモノは入れてはならないというだけだろう。森本防衛相は「日米合同委員会で安全性を確保する話し合いをしている」「米側に安全確保を最大限働きかける考え」というが、これも日本語がヘン。何が起きても自分のせいじゃない。と言っているだけ。会談後、知事は記者団に「安全が保証でき、県民を納得させることができるかが重要。頭からノーとは言っていない」と発言。「県民を納得させる」って、誰が誰に言っているんだ。県民の総意を代表する義務があるだけだよ、あなたには。「頭からノーと言っていない」というのも、そろそろこういうことを言い出すだろうと思っていたら、オスプレイ反対の県民大会十日前にこれが出た。言葉には責任がある。ヤマトの人間も、沖縄県民も、この言葉の通らなさを、許してはならない。仲井真県知事の9月9日の行動を、厳しく見つめなければならない。……言葉・文書での約束さえ守らないイスラエル、「非暴力」の民主的対応を軍事力で抑え込もうとしたイスラエルに対して、カメラで立ち向かったパレスチナのイマード・ブルナート監督が日本に来ている。共同監督のガイ・ダビディ監督も。今日、「非戦を選ぶ演劇人の会」とのシンポジウムがある。この二人の監督に僕たちが会えるということがどういうことなのか。そのことがある意味で奇蹟のようなものだとしたら、その奇蹟はなぜ生み出されたか。その奇蹟はどのような必然が招いたことなのか。よく考えてみたい。
http://hisen-engeki.com/
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