翻訳家であり、日韓を含んだ演劇のコーディネートを続けてきてくれた木村典子さんによると、ソウルの演劇人たちの忘年会ともいえる「演劇人の夕べ」が毎年アルコ芸術劇場で行われる。その場で〈大韓民国演劇賞〉も発表され、今年一年の総決算ということになる。大韓民国演劇賞・男優賞はユン・サンファンとチョン・スンギルが受賞という。ちょっと待てよ。サンファンは私が演出したソウルでの韓国キャスト版「屋根裏」と日本での国際バージョン「裏屋根裏」で組み、スンギルはキム・カンボ演出の韓国版「だるまさんがころんだ」で「タカ」役をやり、今年東京演劇アンサンブルで私が演出した「荷」に主演してくれた。なんと木村さん曰く「坂手ファミリー」の大躍進である。演出賞は、かつて「ブラインドタッチ」「だるまさんがころんだ」の韓国版を演出してくれた、我が韓国の親友キム・カンボ。というか、つまりこれは「キム・カンボ・ファミリー」の大躍進なのだ。受賞対象の一本に私が釜山のワークショップに相棒として連れていってカンボに引き合わせた畑澤聖悟さん作の「親の顔がみたい」が含まれているのも嬉しい。そして作品大賞はカンボの主宰する劇団青羽「そうじゃないのに」。釜山に里帰りか都落ちかわからない気分で悶々としていた数年前から、あっさり甦った、キム・カンボ。さすがだ。写真は左から、スンギル、カンボ、サンファン。背景は私も稽古に通った懐かしいアルコ劇場のロビー。最近のもやもやした気分を払拭してくれる嬉しいニュース。サンファン、スンギル、カンボ、そして典子、おめでとう! ありがとう! ……さて、来年2月20(水)~/24(日)には、世田谷・シアタートラムで韓国現代戯曲ドラマリーディングが行われる。最終日には、キム・カンボらとシンポジウムを行うことになる予定。こんなご時世だからこそ、日韓交流に新しいステップを刻みたい。
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