7月14日に告示され、7月31日に投開票される東京都知事選挙。
立候補の中では、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)=民進、共産、社民、生活推薦=と、元防衛相の小池百合子氏(64)との対決になるのではないかと予想されている。前岩手県知事で元総務相の増田寛也氏(64)=自民、公明、日本のこころ推薦=がおり、仲間割れをした自民党は票を分け合う形だが、小池氏が知名度で勝るのは当然だ。
自民分裂なら鳥越氏の圧勝となりそうなところだが、なかなか政策を述べないことや政治家としての経験値や体調のことで、誰にでも指摘できるレベルの鳥越氏の「マイナス要素」は多い。だが、そんなことは承知で鳥越氏は出るわけだし、支援者たちもわかっていて応援するのであろうから、無意味である。
政策については、これから野党連合の中で調整し学んでいけばいい面もある。じっさい、数日前には世田谷区の保育園や特別養護老人ホームを視察、保育士の処遇改善を明言している。そうはいってももともと鳥越氏は第一線にいたジャーナリストであり、知名度に頼るだけのタレント候補ではないのだ。
小池氏が街頭演説で、複数回のがんの手術を経ている鳥越氏を「病み上がりの人」と表現したことが、「がんサバイバー」に対する差別として批判されている。この件は鳥越氏に分があるだろう。
かと思うと週刊文春が鳥越氏の「淫行疑惑」という記事を出してみたり、鳥越氏側がそれに抗議し訴えるとか、これまた実質政策と関係のない話題が続きそうだが、有権者がしらけてしまえば、やはり対立する与党系が有利となるだろう。
野党統一候補として、いったん出馬を明言し断念したのが石田純一氏(62)である。この人は、30年前にオーストラリアで『カウラ大脱走』というテレビシリーズに主演していて、これはかの国では国民的な番組で、それで「カウラ事件」のことを知ったという人たちも多く、それで私は10年前、NIDA(オーストラリア国立演劇大学)の卒業公演の演出を依頼されシドニーに滞在していた際、当時の学長オーブリー・メロー氏に誘われ、三百キロ離れたカウラに案内されたのである。『カウラ大脱走』でいささか生硬ながらそれも持ち味のように見える着実な成果を見せた石田純一氏は、俳優としても後の「トレンディドラマの帝王」とは違う顔があることを感じさせた。彼の所属事務所は「11日の会見をもちまして、今後一切、政治に関する発言はできなくなりました」と説明し、鳥越氏の応援もしないという。CMなどのスポンサー契約やテレビのレギュラー番組がある限り、政治問題に携わることは難しいということになってしまった。俳優やタレントが社会的発言をしてはならないというのは、納得できないことである。
石田氏を支持してもいいと思っていた方々が鳥越氏支持に回るのは自然なことだろうが、幻の野党統一候補となってしまった宇都宮健児氏支持の方々にしてみれば、鳥越氏が野党共闘候補になったことに納得いかないのも無理はない。私も宇都宮氏がすんなり野党統一候補になっていたら、という思いはある。
自然エネルギー推進会議(代表理事 細川護煕、発起人代表 小泉純一郎)が反原発を含めた非核都市宣言を唱える鳥越氏の推薦を決定したことは、彼らの理にも適っているのだろう。自民党の二番手候補・増田氏は、東京電力関係者で核廃棄物処理についても関わってきている。原発推進はありえないという選択基準の人にとっては論外な人物である。
小池百合子氏は日本会議の重鎮でありヘイトスピーチ団体の在特会とも繋がりがあるし、核武装論も唱える憲法改悪勢力のタカ派である。自民党はいずれ、こちらに一本化してくかもしれない。
鳥越氏については、私は一時期一緒にテレビの「スーパーモーニング」に出ていたことがある。十年近く前だからまだお元気だった。出馬に当たって宇都宮健児氏との関係はしっかり築いていただければというのが懸念材料だったが、そこはクリアしてくれた。
与党勢力に入れるのが嫌だから鳥越氏、というよりは、前向きな材料はあると思う。だが、リベラル派の方々でも、鳥越氏が何らかの失策をするのではないかと怖れている人たちがいる。前の二人の都知事の失脚の仕方もあんまりだったから、ということもあるだろう。次に本当にしっかりしたリベラル派の候補が出るときに、前の知事がリベラル派で失敗した後の選挙では、次の候補が不利になるのではないか、という言い方も出てくるのだ。
ともあれ今は先のことを考えても仕方がなくて、今最も適任と思う人を自分で選ぶしかない。自民党の候補者分裂自体があまりないことなのだから、ここでややこしく考えても仕方ない気はするのだ。
鳥越氏に「政策がない」という批判は、既によく聞こえる。これから発言されていくことを見守りたい。
それはそれとして、安倍自民党政治を止めることじたいがまずは最大の「政策」だという、「限定」でもいいという意見に、今回ばかりは私は賛成したくなる。
ただ、人気投票のような選挙は困る。
明らかに「人気投票型」の選挙をした三宅洋平氏には、その後、本当に失望した。
もはや旧聞だとも思うが記す。
参院選を終え、安倍総理夫人の招きで、彼女や取り巻きと会ったのだ。
以下、彼のツイッター。
「昭恵さんは、その場で総理と俺を繋いでくれた。「立場は各々ながら、国を思い世界を憂う国士として同じ気持ちだと思っています。選挙では多少口を荒らしましたが、失礼します。」と伝え「大丈夫です、それが選挙ですから」と。」
「総理、何なら一緒に高江に行きませんか、とは云えませんでした。三宅はまだそんなもんです。
昭恵さんはチャーミングな方でした。幾ら批判の声があろうが、そう思います。
しかし私は間違っても自民党改憲草案にほだされるような事はありません。」
「まだ自分の選挙が終わったばかりで、宇都宮さん、古賀さん、石田さん含む鳥越さん擁立の経緯に、意識がついていってないので何も判断しかねている、頑張って追いつきたいけど、一回やすませて。というのが正直なところです。」
三宅氏は「ライン」のグループで、昭恵夫人らとグループをつくっているともいう。
なんのこっちゃ。
三宅氏はこの件に対する批判には以下のように答えている。
「いくらでも幻滅すればいい( ^ ^ )/□
俺は俺だから、
何も減らない。
I am what I am.」
そして高江については、以下のように言っている。
「高江のことについては、現在まさに深刻な対立が生まれている状況下にあって、僕としては総理はじめ、政権にあられる皆さまには今一度、住民や反対派の感情や境遇に寄り添う気持ちを持った上で、ご判断いただきたいというのが率直なところです。
政権を運営する人々には、どちらかの側に立つのではなく、推進と阻止の間に立って、その対話、調整をより強く意識してもらいたいのです。」
どう思いますか。
私は、安倍総理と自分を「立場は各々ながら、国を思い世界を憂う国士として同じ」と思うような人に投票しなくてよかったと、心から思う。
また、政治を志す人なら、立場は明確にしないといけない。はっきりと「どちらかの側に立つ」ことが必要であるはずだ。高江にいても、どこにいても、だ。
立候補の中では、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)=民進、共産、社民、生活推薦=と、元防衛相の小池百合子氏(64)との対決になるのではないかと予想されている。前岩手県知事で元総務相の増田寛也氏(64)=自民、公明、日本のこころ推薦=がおり、仲間割れをした自民党は票を分け合う形だが、小池氏が知名度で勝るのは当然だ。
自民分裂なら鳥越氏の圧勝となりそうなところだが、なかなか政策を述べないことや政治家としての経験値や体調のことで、誰にでも指摘できるレベルの鳥越氏の「マイナス要素」は多い。だが、そんなことは承知で鳥越氏は出るわけだし、支援者たちもわかっていて応援するのであろうから、無意味である。
政策については、これから野党連合の中で調整し学んでいけばいい面もある。じっさい、数日前には世田谷区の保育園や特別養護老人ホームを視察、保育士の処遇改善を明言している。そうはいってももともと鳥越氏は第一線にいたジャーナリストであり、知名度に頼るだけのタレント候補ではないのだ。
小池氏が街頭演説で、複数回のがんの手術を経ている鳥越氏を「病み上がりの人」と表現したことが、「がんサバイバー」に対する差別として批判されている。この件は鳥越氏に分があるだろう。
かと思うと週刊文春が鳥越氏の「淫行疑惑」という記事を出してみたり、鳥越氏側がそれに抗議し訴えるとか、これまた実質政策と関係のない話題が続きそうだが、有権者がしらけてしまえば、やはり対立する与党系が有利となるだろう。
野党統一候補として、いったん出馬を明言し断念したのが石田純一氏(62)である。この人は、30年前にオーストラリアで『カウラ大脱走』というテレビシリーズに主演していて、これはかの国では国民的な番組で、それで「カウラ事件」のことを知ったという人たちも多く、それで私は10年前、NIDA(オーストラリア国立演劇大学)の卒業公演の演出を依頼されシドニーに滞在していた際、当時の学長オーブリー・メロー氏に誘われ、三百キロ離れたカウラに案内されたのである。『カウラ大脱走』でいささか生硬ながらそれも持ち味のように見える着実な成果を見せた石田純一氏は、俳優としても後の「トレンディドラマの帝王」とは違う顔があることを感じさせた。彼の所属事務所は「11日の会見をもちまして、今後一切、政治に関する発言はできなくなりました」と説明し、鳥越氏の応援もしないという。CMなどのスポンサー契約やテレビのレギュラー番組がある限り、政治問題に携わることは難しいということになってしまった。俳優やタレントが社会的発言をしてはならないというのは、納得できないことである。
石田氏を支持してもいいと思っていた方々が鳥越氏支持に回るのは自然なことだろうが、幻の野党統一候補となってしまった宇都宮健児氏支持の方々にしてみれば、鳥越氏が野党共闘候補になったことに納得いかないのも無理はない。私も宇都宮氏がすんなり野党統一候補になっていたら、という思いはある。
自然エネルギー推進会議(代表理事 細川護煕、発起人代表 小泉純一郎)が反原発を含めた非核都市宣言を唱える鳥越氏の推薦を決定したことは、彼らの理にも適っているのだろう。自民党の二番手候補・増田氏は、東京電力関係者で核廃棄物処理についても関わってきている。原発推進はありえないという選択基準の人にとっては論外な人物である。
小池百合子氏は日本会議の重鎮でありヘイトスピーチ団体の在特会とも繋がりがあるし、核武装論も唱える憲法改悪勢力のタカ派である。自民党はいずれ、こちらに一本化してくかもしれない。
鳥越氏については、私は一時期一緒にテレビの「スーパーモーニング」に出ていたことがある。十年近く前だからまだお元気だった。出馬に当たって宇都宮健児氏との関係はしっかり築いていただければというのが懸念材料だったが、そこはクリアしてくれた。
与党勢力に入れるのが嫌だから鳥越氏、というよりは、前向きな材料はあると思う。だが、リベラル派の方々でも、鳥越氏が何らかの失策をするのではないかと怖れている人たちがいる。前の二人の都知事の失脚の仕方もあんまりだったから、ということもあるだろう。次に本当にしっかりしたリベラル派の候補が出るときに、前の知事がリベラル派で失敗した後の選挙では、次の候補が不利になるのではないか、という言い方も出てくるのだ。
ともあれ今は先のことを考えても仕方がなくて、今最も適任と思う人を自分で選ぶしかない。自民党の候補者分裂自体があまりないことなのだから、ここでややこしく考えても仕方ない気はするのだ。
鳥越氏に「政策がない」という批判は、既によく聞こえる。これから発言されていくことを見守りたい。
それはそれとして、安倍自民党政治を止めることじたいがまずは最大の「政策」だという、「限定」でもいいという意見に、今回ばかりは私は賛成したくなる。
ただ、人気投票のような選挙は困る。
明らかに「人気投票型」の選挙をした三宅洋平氏には、その後、本当に失望した。
もはや旧聞だとも思うが記す。
参院選を終え、安倍総理夫人の招きで、彼女や取り巻きと会ったのだ。
以下、彼のツイッター。
「昭恵さんは、その場で総理と俺を繋いでくれた。「立場は各々ながら、国を思い世界を憂う国士として同じ気持ちだと思っています。選挙では多少口を荒らしましたが、失礼します。」と伝え「大丈夫です、それが選挙ですから」と。」
「総理、何なら一緒に高江に行きませんか、とは云えませんでした。三宅はまだそんなもんです。
昭恵さんはチャーミングな方でした。幾ら批判の声があろうが、そう思います。
しかし私は間違っても自民党改憲草案にほだされるような事はありません。」
「まだ自分の選挙が終わったばかりで、宇都宮さん、古賀さん、石田さん含む鳥越さん擁立の経緯に、意識がついていってないので何も判断しかねている、頑張って追いつきたいけど、一回やすませて。というのが正直なところです。」
三宅氏は「ライン」のグループで、昭恵夫人らとグループをつくっているともいう。
なんのこっちゃ。
三宅氏はこの件に対する批判には以下のように答えている。
「いくらでも幻滅すればいい( ^ ^ )/□
俺は俺だから、
何も減らない。
I am what I am.」
そして高江については、以下のように言っている。
「高江のことについては、現在まさに深刻な対立が生まれている状況下にあって、僕としては総理はじめ、政権にあられる皆さまには今一度、住民や反対派の感情や境遇に寄り添う気持ちを持った上で、ご判断いただきたいというのが率直なところです。
政権を運営する人々には、どちらかの側に立つのではなく、推進と阻止の間に立って、その対話、調整をより強く意識してもらいたいのです。」
どう思いますか。
私は、安倍総理と自分を「立場は各々ながら、国を思い世界を憂う国士として同じ」と思うような人に投票しなくてよかったと、心から思う。
また、政治を志す人なら、立場は明確にしないといけない。はっきりと「どちらかの側に立つ」ことが必要であるはずだ。高江にいても、どこにいても、だ。