Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

民進党消滅についての雑感

2017-10-04 | Weblog
数日間、希望の党に屈辱的な降伏をして吸収されたとしか見えなかった、民進党。
この事態に全面的に責任があるはずの前原誠司代表は、3日、枝野幸男元官房長官が立憲民主党を旗揚げし、結果的に民進党が希望の党と立憲民主党に分裂したことについて、「全てが想定内だ。政権交代可能な状況をつくらないといけない。自分の判断は正しかったと思っている」と語ったという。
自分の読みが甘く、希望の党に全員が吸収されるという考え(それ自体ひどい話と思うが)を希望の党代表小池氏に拒否されたことの責任が本人にあることが、わかっているのだろうか。それが果たされぬ結果の分裂を「全てが想定内」と言うなんて、どうかしている。
そして、もと民進党の議員が「立憲民主党でなく無所属で出てくれれば(対立する希望の党の)候補者を立てないつもりだった」という。言っていて恥ずかしくないのか。やはり世間で言う「リベラル潰し」も想定内だったというわけか。どう転んでも自分自身は安泰であるという前提で、物を言っているのだろう。その流れで言えば、無所属で立候補する野田佳彦前首相、岡田克也元代表らも、選挙後にどうするかを考えるつもりの風見鶏でしかない。

安全保障法制は「違憲」であり、それを適法にするがための憲法の「改悪」は立憲主義・民主主義に反しており、間違っている。その主張をする民進党の方針は正しかったはずだ。希望の党はまったく逆様の考え方だ。それを捨てろと言う方も言う方、自分が議員でいたいために従う奴らもひどすぎる。「踏み絵」という言葉を安易に使うべきではない。内容が大切だ。
希望の党は今更のように「容認」の2文字を削除し、3日の最終方針では「憲法に則り」との文言を加えたという。民進出身の新候補者が「憲法の順守を前提に適切な運用を求めており、民進の立場とも矛盾しない」などと胸をなで下ろしているそうだが、うわべだけの取り繕いに過ぎない。国民がこんな急ごしらえの誤魔化しに騙されるはずもないとは思わないのか、あるいは実際に騙されてしまうのか、そこまできちんと情勢を読まないだろうと高をくくっているのか⋯⋯。
「連合」の会議では、合流をめぐる混乱に対する前原氏への批判が噴出、希望の党と政策協定を結ばない方針を確認したというが、当然だろう。

そもそも民進党は両院議員総会で前原代表に一任してしまったことじたいが、異常である。
一部で報道されているのは、例えば「そこまで党代表である前原さんが、両院議員総会でおっしゃった以上は、概ねどちら(希望の党の公認と理念政策の概ねの一致)も確保されると。選んだばかりのリーダーですからね。全員の公認を得るのは難しい、という認識を持っていた方は少なからずいらっしゃると思います」というような言い方だが、そんなツメの甘いことで、国民の信託を受ける議員の仕事をやっていけるのか。
「それなりのプロセスを経た上で、代表が自信を持っておっしゃる以上、これは託すほかなかった」「全員がそういう認識をされて、党内で承認したんだから。それは代表の言う通りに実現されるだろうと、期待をして待つのが組織人としてのあり方だという認識でした」という言い方も聞かれるが、「代表」は、「あなた方の代表」である。「組織人」は、組織を正しくするのが仕事で、代表に盲従していて良いはずはない。
えてして、黙って実務をこなし、結果を挙げていくタイプのリーダーに対する評価は鈍く、世間受けのする形で表層的に受けの良さそうな発言をする「代表」を持ち上げることは、昨今の風潮なのだろう。
前原氏は「代表」としての仕事を担うことはできなかったし、一議員としての筋を通すことさえできなかった。
前原氏が小池氏に「騙された」などという報道もあるようだが、そもそも見識がなさ過ぎたのだ。
彼が裏切り者であり卑怯者であることは、間違いがない。自分の党が目指してきたはずのものを、自ら踏みにじったからだ。しかも多くの人たちを自分の野心のために生け贄として差し出し、巻き添えにした。そして多くの人の蒙昧も露呈される結果となった。この間、この混乱の下で、多くの人(しかも経験あるはずの先達も含めた方々)の信じがたい言動を知った。なんと恥ずかしい話だろう。
もちろん前原氏は裏切り者であり卑怯者である以上に「愚かな人」の筆頭に位置するのだが、この場合、「愚かさ」は何の言い訳にもならない。
コメント
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