Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

世界一寒い劇場

2018-01-26 | Weblog
フィリピン文化センターでの公演は、劇団としては、十一年ぶり。
そのスタジオシアターは、世界一寒い劇場である。
私はアラスカ・ジュノーの劇場に一週間滞在したことがある、そこは千年以上凍ったままの氷河まで歩いて行けるところだったからもちろん寒いのだが、暖房だって効いているし、体感としては、このスタジオシアター内は、それよりも寒い。
はい。この劇場は、ただただ冷房が効きすぎているのである。
機械の問題で、調節が出来ないのである。
ついに私はダウンジャケットを持ち出した。風邪を引いてはつまらないからだ。

十一年前は燐光群の公演をここでやったのだったが、留守にしていた私ではなくフィリピンで一年間在外研修もしていた、吉田君の演出。当時、「文化交流使」としてニューヨークに滞在していた私は、その本番を観るためにマニラ〜NY間をとんぼ返りしたものだ。
個人的に初めてこの劇場に来たのは、二十一年前。国際交流基金の調査ツアーの一環で、佐藤信、小池博史、松井憲太郎といった方々と共に訪れた。その時この劇場ではPETAと黒テントの合同公演『ロミオとジュリエット』を上演していた。山元清多さんとの出会いだった。

スタジオシアターは、椅子を足してキャパ200程度。L字型の2階建て客席。不思議な形状だ。
ライターズ・ブロックによる「ヴァージンラボ・フェスティバル」の会場でもある。私の戯曲も二度上演してくれている。

詳しくは、二年前のブログに記している。

http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/b281834dad2fc00b61735ab5f4334bf7

今回の舞台監督・三津さんとは、実は私は二十代の頃に出会っている。大手ディスプレイ会社・N村工芸のバイトだ。私はN村工芸本社内に事務所を持つ折元立身スタジオのバイトリーダーをしていた時期がある。いろんな現場に行った。勉強にもなった。現在「チンドン吉野」の親方になっている吉野茂も、ここのバイトで出会って、舞台表現の道に引き入れてしまったのは、私である。

『リタイアメン』、場当たりは昨日、少し残して終了。
きょうは、場当たりの何場面かのし直しと、この企画としてのミーティングと、部分稽古。夜はDressRehearsal、いわゆるゲネプロ。あすはいきなりの昼夜二公演。
本番は観られないライターズ・ブロックのボス、ロディ・ヴェラが今夜のDressRehearsalを観に来てくれることになっている。
ロディ脚本で一昨年の東京国際映画祭の話題を独占した(観客賞・主演男優賞)という映画『ダイ・ビューティフル』をまだ見られていないのが、残念。

まったく元気が出ないのと雑事が多すぎて、劇場と宿の往復以外に何かしたのは、到着日に仕事のあとサンミゲルビールを飲みに行った一度だけだ。
劇場の食堂は楽屋の隣というか繋がっているようなもので、もうそこで三食食べた。「がくしょくみたい」と言う者がいるが、学生食堂の学食のつもりで言っているのだろうが、新国立劇場の食堂も「がくしょく」と呼ばれていて、そちらは「楽屋食堂」の意味だ。

幕が開いたら、近くなのだから海も見に行きたいし、二十年前に山元清多さんと何度か歩いて行った賑やかなマーケットには行かなきゃと思っている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする