Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『神々の国の首都』を上演したマケドニアは、幻の国になる?

2018-06-13 | Weblog
もう22年前、『神々の国の首都』で、マケドニアの首都スコピエで、ユニセフ傘下の〈MOTフェスティバル〉に参加した。
〈MOTフェスティバル〉正式プログラムのメイン三本の一つということで、国立劇場大ホールで、コンプリシテ『ルーシー・キャブロルの三つの人生』に続いての上演だった。
同時通訳が間に合わず難儀したし、たいへん緊張したが、結果的には大成功であった。
この年のこのフェスティバルで、犬猿の仲とされていたギリシアの演目が初めて上演されたのを憶えている。

バルカン半島はヨーロッパの火薬樽と呼ばれる。
ユーゴスラビアが分裂した後も、新しい秩序がすんなりと受け止められたとはいえない。
マケドニアは、「マケドニア」という名称が自国の中の地方の名前だと主張するギリシアとの間の対立があり、問題をさらにややこしくしていたのだ。

ここにきて、そのマケドニアが、国名変更でギリシャと合意 、「北マケドニア共和国」に名称変更するというニュースが飛び込んできた。
マケドニアは、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)への加盟意志がある故の英断だとしている。
本当に大丈夫なのか。両国の議会ですんなりと承認されるだろうか。

そうなると、一度は作品を上演した「マケドニア」は、「幻の国」になってしまうのだな。

写真は、四半世紀前の『神々の国の首都』、ポストカード。
ラフカディオ・ハーンを川中健次郎が演じた。手前左は、まだ三十代だった猪熊恒和。そりゃ若い。
で、この筏は、ほんとうに重かった。

〈坂手洋二戯曲集〉第三弾『神々の国の首都/漱石とヘルン』(彩流社)、解説・作品ノートを脱稿、出版に向けて動いています。
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