『天神さまのほそみち』、終了して一週間。
数日東京を離れていたせいもあるが、時間感覚が妙な感じだ。
夏である、ここ数日、各所で花火が打ち上げられたらしい。観客の混雑を避けるため、打ち上げる場所は全て、非公開だったという。
「いきなり花火大会」というわけだ。
コロナ禍は、私たちの社会から「お祭り」を奪った。花火大会も、大道芸も、阿波踊りも、盆踊りも、なくなった。
「いきなり花火」は、この時代の人間たちの、ささやかな抵抗、というわけだ。
『天神さまのほそみち』は、お祭りについての劇だ。稽古をやっていて、「お祭りの場」がこの社会から奪われているんだということに、ふと気づいた瞬間がある。
いや、「お祭り」だけではない。コロナのせいにして、コロナをダシにして、存続可能かどうかギリギリだったいろいろなものが、今この瞬間に、失われようとしているのかもしれない。
世の中は、コロナ禍が再盛していることについて、正面から向き合っているのだろうか。
演劇を取り巻く環境も、少しも良くならない。
それでも先に進むしかない。
共に前を向く仲間たちは、いるのだ。
撮影・古元道広