新潟県燕市の遠藤浩教育長が先月下旬の定例教育委員会で、「コロナ禍を解消するには戦争」などと発言していたことがわかった、という。
遠藤教育長は県立高校の校長などを経て、2019年4月から現職。
遠藤教育長が所感をまとめた「教育長報告」文書を、8月21日に教育委員に配布していたという情報も出ている。
「コロナ禍を短時間で解消する方法はどこかで大きな戦争が発生することではないだろうか。中国とアメリカが自国以外の地域で戦争を始めれば、お金は動く」
「戦争が始まれば武器という商品で経済は回復するだろう」
「きっと経済が上向くきっかけになるのではないか」
ということらしい。
戦争が起きることで収益を上げた、といえば、映画『エデンの東』のジェームス・ディーンの役もそうだった。
朝鮮戦争時の日本の「特需」もそうである。
この教育長、中国とアメリカが自国以外の地域で戦争を始める、その場所を、いったいどこだと思っているのだろう。
「武器という商品」という言い方が罪深い。
六年前、武器輸出三原則が実質無効化されたことが、結局、こういう考え方をうみだしていくのだ。
市は1日、ホームページに教育長名で「不適切な表現があった」と謝罪する文書を掲載した。
「誤解」だというのなら、もとの「教育長報告」文書も、公開してほしい。
↓
8月定例教育委員会「教育長報告」における不適切な表現について(お詫び)
保護者、児童生徒、教育関係者並びに市民の皆様へ
このたび、令和2年8月21日に開催された定例教育委員会での「教育長報告」の内容の一部に不適切な表現がありました。
保護者、児童生徒、教育関係者並びに市民の皆様に、不快な思いや大きな不安を与えてしまいましたことについて、深くお詫び申し上げます。
このたびの件は、「教育長報告」において、あたかも戦争を是認すると読み取れる部分があったものです。当該部分の内容については、現在のコロナ禍において、社会全体に閉塞感のようなものがあり、それを打開する方法として戦争を始めてしまうのではないかという人間の愚かさを憂いて表現したものであり、決して戦争を期待したり肯定したりするものではありません。
人間には、閉塞感を何か別なものに置き換えて矛先を変えることがよくあることのように思え、決してそのようなことは起きて欲しくないと願っての表現でありましたが、読み手には真意が伝わらない表現であったことは否めず、深く反省しております。
私は、戦争は人間の尊厳を損なう最も愚かな行為であり、ひとたび起これば世界中の人々に多くの犠牲と心に深い傷を残すことから、戦争に強く反対する立場であり、平和を望む気持ちは人一倍持っております。また、児童生徒に、人類の大きな過ちを学ぶことにより、二度と戦争のない平和な世界を築いてほしいと強く願っております。
教育者として、引き続き、戦争の悲惨さを児童生徒に語り、平和の大切さを伝えてまいりますとともに、今後、発言や文書表現をする際には、このたびのような誤解を与えることが二度とないよう、十分留意してまいります。
あらためて、保護者、児童生徒、教育関係者並びに市民の皆様に、不快な思いや大きな不安を与えてしまいましたことを、重ねて深くお詫び申し上げます。
誠に申し訳ありませんでした。
今後とも、燕市の教育行政にご理解とご協力をお願い申し上げます。
令和2年9月1日
燕市教育委員会 教育長 遠藤 浩