Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

伴 一彦 さんの新著 「追憶映画館 テアトル茜橋の奇跡」

2020-09-18 | Weblog
『うちの子にかぎって…』『パパはニュースキャスター』『君の瞳に恋してる!』等のドラマで知られるシナリオライターにして最近は戯曲も手掛ける、伴 一彦 さんの、新著。

「追憶映画館 テアトル茜橋の奇跡」(PHP文芸文庫)。

映画と映画館にまつわる、連作小説である。

同じ映画でも、いつ、どこで、誰と観るかで、体験としてはそれぞれの人にとって、違う。
ということは、一つの映画を通して、様々な人生を送る人々が繋がっている、ということでもある。その構造がこの小説の幹である。
わかりやすく読みやすい中に、ドラマを書いてきた人の職人的な省略の手法を感じさせる。プロットだけで相手を説得させなければならないことが多い仕事ならではの腕力ともいえるだろう。「観客に想像させる」ことを選択した文体である。これは、既成の映画を引用するときのバランスの取り方として選ばれたものであろう。
エピソードと人間関係に類似性が強いところ、「誤解」によって展開するケースが多いのがもったいない気がするが、そうした人たちが吸い寄せられた場なのだと、理解すべきなのだろう。そこに、悠々と、豊かにこの世界を見つめようとする、伴さんの感受性がある。


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菅内閣支持率 74%、「人柄が信頼できる」「安定感がある」って、どこが?!

2020-09-18 | Weblog
日本経済新聞の世論調査では、菅内閣支持率は74%、発足時としては歴代3位という。
見出しによれば、「人柄」を評価、とある。
菅内閣を支持する理由を複数回答で聞くと「人柄が信頼できる」の46%が最多。2位は「安定感がある」で39%。

マスコミが自民党総裁選で「雪深い秋田の農家の長男として生まれた」と生い立ちを紹介し、地方議員などを経て国政入りした経緯を繰り返し説明したことを、視聴者は丸呑みにしたということなのだろうか。
いや、マスコミの言うことをすんなり受け止める層の厚さが増していることは、さいきん、悉く感じている。
「人柄が信頼できる」ったって、私には「どこが?」としか思われない。東京新聞望月衣塑子記者への仕打ちなど、知る人ぞ知っている、はずなのだが……。

安倍内閣の悪いところはまるごと引き継いでいく新政権である。
「安定感がある」って……。実態も内容もなく「変わること」への漠然とした不安がこの国を支配しているだけだ。
どうやら、中身は関係ない、のだ。

さいきん時折り、映画『はりぼて』の印象が、甦る。
ひどい汚職市議会議員たちの話だが、悪いことをした者はちゃんとやめるべきという筋が通っているだけ、国政よりはましである。
ユーロスペースで続映中。19日から観客席は半減からフルになるが、上映回数は減るようだ。

ともあれ、日本全体が「はりぼて」であることが、よくわかる昨今である。
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