今日は父の日。
忘れていたわけではないが、夫に与える食事ばかりを考えて、実の父まで気が回らなかった。結局のところ、自分が食べるかどうかで優先順位が決まるのだ。
「しまった、何も買っていないなぁ」
しかし、焦ることはない。父の誕生日は6月下旬なので、その頃にしれっと「父の日と一緒にしたよ」などと言って、コーヒーやお菓子を送ればすむ。ひどい娘だ。
わが家の父の日メニューは寿司と牛ヒレステーキにした。夫の誕生日も6月だから、誕生祝いも兼ねてケーキも用意する。お昼は簡単に冷やし中華にするか。
「あれ、パパはいないんだっけ」
引きこもりの夫も、ごくまれに出かけることがあり、今日がその日だった。わかっていたはずなのに、3人前の冷やし中華を買ってしまい、失敗したことに気づく。
「まあいいか。2人で3人前食べちゃおう」
ごまだれをかけて、錦糸卵とハムに茹でた小松菜を載せた冷やし中華をいただく。娘はキュウリが嫌いなので、小松菜がワカメやほうれん草になったりするが、結構何にでも合うからよい。
おやつにプリンを食べて、18時に寿司が届く。遅ればせながら、この頃、ようやく胃腸の異変に気づいた。
「ねえ、ミキ、お腹空いた?」
「ううん。全然」
「なんだろね」
「寿司とステーキが待っているのに」
私も娘も、空腹感がゼロなのだが、時間になったので夕飯にした。
「ねえ、お母さん。お寿司もステーキも美味しいけど、お腹が苦しい」
「わかるわかる。このあとケーキもあるんだよ」
「ひいい」
「食べ切れるかな」
苦痛の表情を浮かべながら、なぜ、今日は食が進まないのか考えてみた。
「……あれか」
「冷やし中華」
やはり2人で3人前は多かった。慣れないことはするものじゃない。
何とか料理を食べ切り、30分休憩したあと、ケーキにとりかかった。こんがりと焼けたベイクドチーズケーキが、白い皿の上で待っている。
「ううっ、これで最後だ!」
「ヨーグルトとハーブティーはもう無理」
日課のヨーグルトをあきらめ、何とかケーキを完食した。もう、これ以上、何も食べられない。
「はあはあ」
「ふうふう」
冷やし中華を食べなかった夫だけが、腹八分目で涼しい顔をしていた。
反省しきりの父の日であった。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
忘れていたわけではないが、夫に与える食事ばかりを考えて、実の父まで気が回らなかった。結局のところ、自分が食べるかどうかで優先順位が決まるのだ。
「しまった、何も買っていないなぁ」
しかし、焦ることはない。父の誕生日は6月下旬なので、その頃にしれっと「父の日と一緒にしたよ」などと言って、コーヒーやお菓子を送ればすむ。ひどい娘だ。
わが家の父の日メニューは寿司と牛ヒレステーキにした。夫の誕生日も6月だから、誕生祝いも兼ねてケーキも用意する。お昼は簡単に冷やし中華にするか。
「あれ、パパはいないんだっけ」
引きこもりの夫も、ごくまれに出かけることがあり、今日がその日だった。わかっていたはずなのに、3人前の冷やし中華を買ってしまい、失敗したことに気づく。
「まあいいか。2人で3人前食べちゃおう」
ごまだれをかけて、錦糸卵とハムに茹でた小松菜を載せた冷やし中華をいただく。娘はキュウリが嫌いなので、小松菜がワカメやほうれん草になったりするが、結構何にでも合うからよい。
おやつにプリンを食べて、18時に寿司が届く。遅ればせながら、この頃、ようやく胃腸の異変に気づいた。
「ねえ、ミキ、お腹空いた?」
「ううん。全然」
「なんだろね」
「寿司とステーキが待っているのに」
私も娘も、空腹感がゼロなのだが、時間になったので夕飯にした。
「ねえ、お母さん。お寿司もステーキも美味しいけど、お腹が苦しい」
「わかるわかる。このあとケーキもあるんだよ」
「ひいい」
「食べ切れるかな」
苦痛の表情を浮かべながら、なぜ、今日は食が進まないのか考えてみた。
「……あれか」
「冷やし中華」
やはり2人で3人前は多かった。慣れないことはするものじゃない。
何とか料理を食べ切り、30分休憩したあと、ケーキにとりかかった。こんがりと焼けたベイクドチーズケーキが、白い皿の上で待っている。
「ううっ、これで最後だ!」
「ヨーグルトとハーブティーはもう無理」
日課のヨーグルトをあきらめ、何とかケーキを完食した。もう、これ以上、何も食べられない。
「はあはあ」
「ふうふう」
冷やし中華を食べなかった夫だけが、腹八分目で涼しい顔をしていた。
反省しきりの父の日であった。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)