首都圏の朝には体力が必要だ。
通勤通学電車の混みようといったらない。自動改札を抜けてホームに下りると、すでに何十人もの人が並んで列車を待っている。
ほぼ5分間隔で到着する電車は、準急も各停もすでに満員だ。ドアが開くと、不機嫌な顔をした乗客がドッと飛び出してくる。穴の開いたビニール袋から、水が噴き出すみたいに。
降りる客が途切れると、ホームでスタンバイしている人が一斉に動き出す。
車内は蒸し暑いので、上着はあらかじめ脱いでおく。乗ってしまうと身動きがとれない。本や携帯もバッグから出しておく。たとえ汗をかいても、ハンカチやタオルに手が届かない。まったく不便なことだ。
発車を知らせる曲が聞こえる。乗り遅れては大変と、排水口の栓を外した風呂水のように、乗客がドアに吸い込まれていく。誰もがストレスに顔を歪め、前後左右の乗客と押し合いへし合いしながら、車内に進む。見ず知らずの人と体が密着するはイヤだけど、贅沢は言えないのだ。
中には迷惑な乗客もいる。全員が前向きに乗り込めば、目の前にあるのは前の人の後姿だ。顔が見えないと、肌が触れ合ってもそれほど気にならない。しかし、あるとき、目の前のサラリーマンが汗をふきふき、クルリと後ろ向きになって乗り込んだ。後ろにいた私はたまらない。不本意ながら、サラリーマンの胸に突進せざるを得なかった。「あ~れぇ~」と叫びたい気分になる。
いきなり体の向きを変える人は、何も考えていないようだ。後ろが同年代の男性であってもクルリとやるから、場合によってはオジさん同士で抱き合うはめになる。どちらもお互いから顔をそむけ、この上なく不愉快そうだった。一人だけ、体の向きを変えてはいけないのだ。
人と人の間にバッグがはさまり、抜くのに苦労することもある。バッグならまだよいが、髪がはさまるととても痛い。洋服ではスカートが危険だ。学生のときは、ふんわりとしたラインのフレアースカートをよくはいた。二十歳そこそこだったとき、スカートの裾が人波に巻き込まれた。引っ張ってたぐり寄せようとしたら、反対側から私のスカートをつかむ毛深い手が見え、心臓が止まりそうになった。心霊写真を見るような、不気味なオーラを思い出す。
先日は、大変珍しいものがはさまれた。
二の腕だ……。
私は決して太っているわけではないが、二の腕にはしまりがなく、動くたびにタプタプ揺れるくらい肉がついている。
その日、私の隣にはスーツ姿の会社員がいて、後ろから制服を着た男子高生が乗り込んできた。男子高生の大きなバッグが私の二の腕に触れたと思ったら、鋭い痛みが走った。何と、二の腕の余分なお肉が、会社員の背中と大きなバッグにサンドイッチされていたのだ。ローラー式の脱水機にはまったように、二の腕はなかなか抜けない。
痛い、痛ーい!!
夏で、肌を露出していたことが災いしたようだ。電車が動くと、振動でようやく腕は抜けた。つねられたような痛みはなくなったものの、心の痛みがおさまらない。
ううう、肉をはさまれるなんて、アタシってデブなんだ……。
ブルーな気分で一日を終え、うなだれてパソコンをのぞくと、タイムリーな記事が目に入った。「やせてほしくない部位のランキング」である。男性から見た「女性のここだけはやせてほしくない」パーツを順位付けしたものらしい。さて、どんなパーツが登場することやら。
驚くことに、第1位は「二の腕」であった。
マジ!?
慰められたような、励まされたような……。
じゃあ、お言葉に甘えて、このままで~。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
通勤通学電車の混みようといったらない。自動改札を抜けてホームに下りると、すでに何十人もの人が並んで列車を待っている。
ほぼ5分間隔で到着する電車は、準急も各停もすでに満員だ。ドアが開くと、不機嫌な顔をした乗客がドッと飛び出してくる。穴の開いたビニール袋から、水が噴き出すみたいに。
降りる客が途切れると、ホームでスタンバイしている人が一斉に動き出す。
車内は蒸し暑いので、上着はあらかじめ脱いでおく。乗ってしまうと身動きがとれない。本や携帯もバッグから出しておく。たとえ汗をかいても、ハンカチやタオルに手が届かない。まったく不便なことだ。
発車を知らせる曲が聞こえる。乗り遅れては大変と、排水口の栓を外した風呂水のように、乗客がドアに吸い込まれていく。誰もがストレスに顔を歪め、前後左右の乗客と押し合いへし合いしながら、車内に進む。見ず知らずの人と体が密着するはイヤだけど、贅沢は言えないのだ。
中には迷惑な乗客もいる。全員が前向きに乗り込めば、目の前にあるのは前の人の後姿だ。顔が見えないと、肌が触れ合ってもそれほど気にならない。しかし、あるとき、目の前のサラリーマンが汗をふきふき、クルリと後ろ向きになって乗り込んだ。後ろにいた私はたまらない。不本意ながら、サラリーマンの胸に突進せざるを得なかった。「あ~れぇ~」と叫びたい気分になる。
いきなり体の向きを変える人は、何も考えていないようだ。後ろが同年代の男性であってもクルリとやるから、場合によってはオジさん同士で抱き合うはめになる。どちらもお互いから顔をそむけ、この上なく不愉快そうだった。一人だけ、体の向きを変えてはいけないのだ。
人と人の間にバッグがはさまり、抜くのに苦労することもある。バッグならまだよいが、髪がはさまるととても痛い。洋服ではスカートが危険だ。学生のときは、ふんわりとしたラインのフレアースカートをよくはいた。二十歳そこそこだったとき、スカートの裾が人波に巻き込まれた。引っ張ってたぐり寄せようとしたら、反対側から私のスカートをつかむ毛深い手が見え、心臓が止まりそうになった。心霊写真を見るような、不気味なオーラを思い出す。
先日は、大変珍しいものがはさまれた。
二の腕だ……。
私は決して太っているわけではないが、二の腕にはしまりがなく、動くたびにタプタプ揺れるくらい肉がついている。
その日、私の隣にはスーツ姿の会社員がいて、後ろから制服を着た男子高生が乗り込んできた。男子高生の大きなバッグが私の二の腕に触れたと思ったら、鋭い痛みが走った。何と、二の腕の余分なお肉が、会社員の背中と大きなバッグにサンドイッチされていたのだ。ローラー式の脱水機にはまったように、二の腕はなかなか抜けない。
痛い、痛ーい!!
夏で、肌を露出していたことが災いしたようだ。電車が動くと、振動でようやく腕は抜けた。つねられたような痛みはなくなったものの、心の痛みがおさまらない。
ううう、肉をはさまれるなんて、アタシってデブなんだ……。
ブルーな気分で一日を終え、うなだれてパソコンをのぞくと、タイムリーな記事が目に入った。「やせてほしくない部位のランキング」である。男性から見た「女性のここだけはやせてほしくない」パーツを順位付けしたものらしい。さて、どんなパーツが登場することやら。
驚くことに、第1位は「二の腕」であった。
マジ!?
慰められたような、励まされたような……。
じゃあ、お言葉に甘えて、このままで~。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
そうですか?
純さんは観賞用と実用(?)を分けているみたいですね。
ムギューと抱きしめて心地よいのはポチャでしょう。
硬いと「イタッ」てな具合になりそうです(笑)
あと、性格もゆるい感じですね。
私は予想通り配偶者の体型に口出しします。
夫にも毎日のように「デブねぇ」と言ってしまい、聞き流されています。
二の腕のポチャ、最高じゃないですか!
そりゃ、ウエスト、二の腕、ヒップ、太ももが締まっている女性を雑誌等で見て
カッコいい
と、思った事も正直ありましたが、
いざ自分の恋人とか女房がそうだったら
きっと私も毎日筋トレとか食事制限等させられて嫌になっちゃいますよ、多分!
うちの女房もポチャだから惚れました。
振り袖に抵抗ありましたか?
私はあまり考えたことがなかったです。
ウエストは苦しくなりますね。
披露宴に出ても、食欲がありませんでしたよ。
といいつつ、完食でしたが(笑)
そうですね、今の若いスリム女子は、出産仕様になっていないかも。
冷えに苦しんでいる感じだし。
健康第一です。
あごやウエスト、ヒップライン等の上に二の腕まで!
神は、なんと残酷な仕打ちをされるのでしょう(泣)
私の若いころとは、スリム度が段違いなイマドキの子たち。
そのファッションとスタイルで、将来無事出産できるのかと、心配になってしまいます。
せめておばさんだけでも、ほどよく脂肪をつけて健康でいなくちゃ。
ってことは、ポチャ系ですか??
ほどよく丸い女性は可愛いですね。
私はコントロールする自信がないので、関取体型になってしまうかも?
やせすぎの女性は健康なんでしょうか。
体質なら仕方ないけれど、無理なダイエットによるものだと怖いです~!
このランキングを見て思ったのは、「やはり男女では感覚に大きな差がある」ということでした。
二の腕タプタプをよしとする女性は見たことがありません。
でも、男性には許容する人が多いんですね。
ホント、意外~!
田舎よりも、都会のほうが無頓着になるかも…。
なにしろ、他人に無関心ですからね。
誰かにとがめられることもなく、堕落していく人もいます。
20年後の私でしょうか(笑)
押したらきっと、どこかの骨が折れるんだろうなぁ。
女性は、少し太ってる方がいいんです(笑)
と、自分を励ましてます。
二の腕・・・・筋トレしなきゃ(^^;)
今は絶対都会暮らしはできません。
田舎なら、多少二の腕がたぷたぷしていても
どんなにお腹がぷっくらいていても
しみだらけの顔に化粧もせずに買い物に行っても
ぜ~んぜん気にせずに済むんですよ~~。
・・・
いやいや、田舎でも、ちゃんとしている人はちゃんとしているんだけどね。
私はどっぷり怠惰な生活に浸りきってしまって・・・
どこかで痛いめにあわないと意識改革できないようです。
二の腕、「痩せてほしくない部位」堂々の1位でよかったですね~~。
落ち着きのない人は困るね。
体を揺すってみたり、独り言をつぶやいてはそわそわするんだよ。
あとはガムかな。
耳元でクチャクチャやられると腹が立つね。
足元に大きな荷物を置く高校生も迷惑。
弱冷房車は、空いている昼間に意味があるんだと思う。
混んでる朝には必要ないね。
落ち着きがない人が近くにいるとイライラするね。首をやたらと動かされたりすると、欝陶しくて仕方ないしね。あと、新聞を広げて読む人も然り…。
“弱冷房車”は無くていいね。何であんなのがあるんだか…。
そうですか?
今日も飲んでしまいました~!
優貴子さんのような方が隣にいたわけではないので、ひとり淋しく…。
一番書きたかったのは、二の腕話です(笑)
いつも前置きが長くなります。
毎日、こんなにツラい思いをして通うなんて、不幸ですよね。
エッセイ集は、家に300冊ほどあるので(笑)よろしければお譲りしますよ。
Amebaかseesaa、mixiなどで臨時にアカウントを取っていただければ、メッセージの交換ができます。
詳細はそちらでいかがでしょう?
ぽっちゃり過ぎるのは好きじゃなかったね。
かといって、骨と皮みたいのもどうかと思うし。
部分的に丸いのがよいのかしら。
でも、二の腕人気は意外!!
娘にはよく引っ張られます(笑)
ますます伸びたりして…。
今日の記事、砂希さんの魅力が余すところ無く出てましたよ。
正しい週末を過ごした効果が出ております。(*^・^*)チュッ♪
砂希さんが出版したというエッセイ集、気になっているところです。
いろんな意味でね。