これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

八重垣神社で縁結び

2018年09月06日 21時40分59秒 | エッセイ
「松江に行くなら、八重垣神社は外せないよ」
 大学4年の娘が、島根出身の知人にこう言われたそうだ。
「縁結びで有名な神社なんだけど、男女の縁だけじゃなくて、一生つき合える友達との縁や仕事との縁、お金との縁も含めて、自分を幸せにしてくれるものとめぐり合えるようになるよ」
 なるほど、縁とは幅広いものなのだ。ならば、ぜひお詣りしようではないか。





 この神社は、鏡の池の縁結び占いが有名である。社務所で占い用紙をいただき、鏡の池に浮かべる。その上に、百円玉か十円玉を載せて、15分以内に沈めば良縁が近くまで来ているのだとか。また、自分の近くで沈めば身近な人とつながり、離れた場所で沈めば、遠方の人と結ばれるという。



 たぶん、娘には彼氏がいない。やけに張り切って、鏡の池に突進していった。



 私と夫はついていくだけで占い用紙は持っていない。お詣りするだけで十分だ。
「よし、やってみよう」
 娘が池に向かってしゃがみ込み、おそるおそる用紙を着水させる。水に濡れると占いの文字が浮かぶので、読んでからそーっと十円玉を置いた。金欠のため、百円玉は温存したようだ。
 効果の重みですぐにでも沈みそうなものだが、予想に反して、紙は容易に沈まない。周りを見ると、何時間漂流しているの? と聞きたくなるような用紙がプカリと浮かんでいる。さぞ、がっかりして帰っていたれたことだろう。



「やだなあ、ミキのもああなるのかな」
 娘が顔を曇らせて池を見つめる。水底には、たくさんの硬貨や紙がたまっているようだ。期待や落胆、歓喜、失望……もろもろの感情を背負って。
 そんなことを考えていたら、占い用紙に動きが出てきた。硬貨の周辺が浸水してきて、水たまりが大きくなっている。水たまりは徐々に、紙の3分の1、2分の1と成長していき、中央から静かに沈んでいった。助けを求めることもなく、無言で身じろぎもせず水底に吸い込まれて消えた。
「やった、5分で沈んだよ」
 娘が弾んだ声を出す。比較的、体に近い場所だったから、近場の相手とラブラブになるのかもしれない。楽しみだ。



 八重垣神社のあとは、宍道湖の遊覧船に乗り



 お昼過ぎには、松江から鳥取に移動する。特急電車の指定券を取り、景色を見ながらゆったり過ごすつもりだったのに、許してもらえなかったようだ。
「指定席1号車にご乗車されるお客様、本日は冷房故障のため、恐れ入りますが自由席の2号車、3号車にお回りください」
「えー」
 何と、唯一の指定席の車両が蒸し風呂となったため、自由席に移れというのである。信じられない不運。
「なんだ、空いてるじゃん」
 しかし、心配することはなかった。自由席の乗車率は50%程度で、全然混雑していなかったからだ。降車駅で特急料金が返ってきたから、5000円以上の臨時収入を得る結果となった。
 さっそく、お金とのご縁に恵まれた?


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