掃除機は吸引力が命。
私のお気に入りは、ドイツ・ミーレ社製の掃除機、シルバースターだ。娘のミキが生まれた年に某通販で買ったからもう12年も使っているが、どんなゴミでもゴゴーッと吸い込むパワーは衰えない。まるでブラックホールだ。床にまで吸い付くノズルを滑らせて、縦に横にと動かせば、お部屋はたちまちピッカピカ。
ところがところが、夏からこの掃除機のパワーがダウンしてしまった。弱々しい吸引力となり、床には吸い付かない、大きなゴミにはそっぽを向くといった変わりようなのだ。
すわ、反抗期か?!
我が家の掃除は、この春から退職した夫が主に担当しているのだが、彼はこれが許せなかったらしい。手動で出力パワーを最大限まで上げ、強引に吸引力をアップさせた。まるで、映画『風と共に去りぬ』で戦火をかいくぐり、故郷タラへと急ぐスカーレット・オハラである。スカーレットは弱った馬に鞭をくれ、無理やり歩かせた結果死なせてしまう。
我が家の掃除機も然り。最初はイヤイヤ吸い取っていたが、10分も経てばオーバーヒートを起こして自動停止し、熱が冷めるまでストライキを決め込むのだ。
(8月12日付日記『リングは自宅』参照)
使い物にならないので、古い掃除機を引っ張り出した。が、ミーレ社製に慣れてしまった今はどうも物足りない。しばらく我慢して使っていたけれども、やはりブラックホールが捨てがたい。
先日、私はようやく重い腰を上げ、サービスセンターに電話をかけた。すぐにオペレーターの女性が出てくれた。
「故障ですか。修理の前に4点確認していただきたいことがあります。まず、ダストパックがいっぱいになっていませんか?」
「交換したばかりです」
「では次に、フィルターは汚れていませんか?」
「あ、それも説明書を見て交換しました。でも吸引力は上がりませんでした」
「そうですか……。では、布団圧縮袋などにお使いになりませんでしたか?」
「いいえ、使っていません」
「最後に、ノズルやホースに何か詰まっていませんか?」
これは意外な感じがした。
「特に持ち手のくの字に曲がっている辺りにものが詰まり、吸引力が落ちるというケースが多いんです。今、ご確認いただけますか?」
まさかね、と思った。問題の箇所は暗くてよく見えない。ノズルを振っても音がするわけではなく、何もないような気がした。しかし、一応懐中電灯で照らして中を確認してみなくては。
すると、触覚だけを殻から出しているかたつむりのように、円柱の細いものがわずかに見えた。
まさか、本当に詰まっているとは!!
これぞ、まさにコロンブスの卵である。私は一人で納得し、オペレーターに答えた。
「あのー、鉛筆が詰まっているみたいです」
すると、女性のホッとしたような声が返ってきた。
「では、それを取っても吸引力が戻らなければ、またお電話いただけますか?」
私は礼を言って電話を切り、鉛筆の救助に取りかかった。細い棒を突っ込んで刺激を与えても、鉛筆はびくともしない。なまじ吸引力が強いために、くの字形のところまで引っ張られて固定されたのだろう。ノズルを下に向けて揺すっても、出てくるのはたまりにたまったホコリばかり。なかなか鉛筆は救出できない。さらに棒を深く差し込むと、今度は手ごたえがあった。ノズルを逆さまにして落ちてきたのは、なんと長さ12cmの赤い色鉛筆だった。
こんなに長かったのか!!
私は仰天した。これは絶対夫の仕業だ。どうやったら、こんなに目立つものを吸い込むというのだろう。色鉛筆だけならともかく、次々と吸い込まれていくチリやホコリがその周りにたまり、ノズルを塞いでいたようだ。これでは吸引力が落ちるのも当然である。
「……でね、中をきれいにしたら、またパワーが回復したんだよ」
私は夫にことの顛末を話した。めでたくブラックホールが復活したのだ。
しかし、彼の返事は私の予想を裏切るものだった。
「ああ、よかった。やっぱりミーレのがいいよ。電話してみるもんだなぁ」
あれ? 反省の言葉はないの? これからは気をつけようとか……。
理由はすぐにわかった。
私たちはお互いに、自分の非を認めないという習性がある。
彼もまた、私の仕業だと思っているのだ。
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私のお気に入りは、ドイツ・ミーレ社製の掃除機、シルバースターだ。娘のミキが生まれた年に某通販で買ったからもう12年も使っているが、どんなゴミでもゴゴーッと吸い込むパワーは衰えない。まるでブラックホールだ。床にまで吸い付くノズルを滑らせて、縦に横にと動かせば、お部屋はたちまちピッカピカ。
ところがところが、夏からこの掃除機のパワーがダウンしてしまった。弱々しい吸引力となり、床には吸い付かない、大きなゴミにはそっぽを向くといった変わりようなのだ。
すわ、反抗期か?!
我が家の掃除は、この春から退職した夫が主に担当しているのだが、彼はこれが許せなかったらしい。手動で出力パワーを最大限まで上げ、強引に吸引力をアップさせた。まるで、映画『風と共に去りぬ』で戦火をかいくぐり、故郷タラへと急ぐスカーレット・オハラである。スカーレットは弱った馬に鞭をくれ、無理やり歩かせた結果死なせてしまう。
我が家の掃除機も然り。最初はイヤイヤ吸い取っていたが、10分も経てばオーバーヒートを起こして自動停止し、熱が冷めるまでストライキを決め込むのだ。
(8月12日付日記『リングは自宅』参照)
使い物にならないので、古い掃除機を引っ張り出した。が、ミーレ社製に慣れてしまった今はどうも物足りない。しばらく我慢して使っていたけれども、やはりブラックホールが捨てがたい。
先日、私はようやく重い腰を上げ、サービスセンターに電話をかけた。すぐにオペレーターの女性が出てくれた。
「故障ですか。修理の前に4点確認していただきたいことがあります。まず、ダストパックがいっぱいになっていませんか?」
「交換したばかりです」
「では次に、フィルターは汚れていませんか?」
「あ、それも説明書を見て交換しました。でも吸引力は上がりませんでした」
「そうですか……。では、布団圧縮袋などにお使いになりませんでしたか?」
「いいえ、使っていません」
「最後に、ノズルやホースに何か詰まっていませんか?」
これは意外な感じがした。
「特に持ち手のくの字に曲がっている辺りにものが詰まり、吸引力が落ちるというケースが多いんです。今、ご確認いただけますか?」
まさかね、と思った。問題の箇所は暗くてよく見えない。ノズルを振っても音がするわけではなく、何もないような気がした。しかし、一応懐中電灯で照らして中を確認してみなくては。
すると、触覚だけを殻から出しているかたつむりのように、円柱の細いものがわずかに見えた。
まさか、本当に詰まっているとは!!
これぞ、まさにコロンブスの卵である。私は一人で納得し、オペレーターに答えた。
「あのー、鉛筆が詰まっているみたいです」
すると、女性のホッとしたような声が返ってきた。
「では、それを取っても吸引力が戻らなければ、またお電話いただけますか?」
私は礼を言って電話を切り、鉛筆の救助に取りかかった。細い棒を突っ込んで刺激を与えても、鉛筆はびくともしない。なまじ吸引力が強いために、くの字形のところまで引っ張られて固定されたのだろう。ノズルを下に向けて揺すっても、出てくるのはたまりにたまったホコリばかり。なかなか鉛筆は救出できない。さらに棒を深く差し込むと、今度は手ごたえがあった。ノズルを逆さまにして落ちてきたのは、なんと長さ12cmの赤い色鉛筆だった。
こんなに長かったのか!!
私は仰天した。これは絶対夫の仕業だ。どうやったら、こんなに目立つものを吸い込むというのだろう。色鉛筆だけならともかく、次々と吸い込まれていくチリやホコリがその周りにたまり、ノズルを塞いでいたようだ。これでは吸引力が落ちるのも当然である。
「……でね、中をきれいにしたら、またパワーが回復したんだよ」
私は夫にことの顛末を話した。めでたくブラックホールが復活したのだ。
しかし、彼の返事は私の予想を裏切るものだった。
「ああ、よかった。やっぱりミーレのがいいよ。電話してみるもんだなぁ」
あれ? 反省の言葉はないの? これからは気をつけようとか……。
理由はすぐにわかった。
私たちはお互いに、自分の非を認めないという習性がある。
彼もまた、私の仕業だと思っているのだ。
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我が家にも吸引力のすごい掃除機があります。
すっかりホコリ被ってるけど…
12センチの鉛筆って吸い込めるんですね(^^;
実際つっかかっている鉛筆を見て、わが目を疑いましたね。
今は元気モリモリの掃除機なので、結果オーライかなっ
たまに相方がダイソン買おっかーとか言いますけど、
いつも後回しに。
ブラックホール欲しいです。
全っ然関係ないけど、ネコは掃除機キライです。
やり始めると全員逃げる。掃除機見せるだけでも逃げる<例外アリ>。
なんでだろ?とか思い、大きくて音がでかいからじゃないか?
などと考え、ギターを見せたら、果たして同じような反応をされました。
最後の一言
互いに自分の非を認めない、相手の仕業だと思っている
ってうちのことかと思いました~(笑)
吸引力の強い掃除機って排気はどうなんでしょうね?!
気になるところです
ネコは掃除機を見たら逃げるとのことですが、竹輪を見せると近づいてくるっていうのは本当なんでしょうか…。
ウチではネコ飼ったことないからわかりましぇ~ん。
お気をつけて行ってらっしゃいませ
むっちゃん、どこの家でもまず相手のせいにすることを思いつくんでしょうか。
妹に言わせれば、私はすぐ誰かのせいにする傾向があるらしいです 反省…。
んで、この掃除機はクリーンな排気もウリなので、高性能のフィルターが搭載されてま~す
買ったあとすぐに、サイクロン式の掃除機が発売され悔しい思いをしましたが…。
さ希納言さん宅は基本責任のなすり合いなんですね(笑)うちの大奥様がそんな人なんで、うなずいてしまいます。
ゆうさんちの大豪邸は床面積が広くて、酷使していたのかもしれません~
最新型って弱っちぃ…
大奥様って、炊飯器が故障したときに登場した方ですよね。
私の母みたいだと思いました。
だから私も素質十分ですよ、きっと
てか、ゆうさんち、家電製品壊れすぎ~(笑)
うちは15年で2台目ですが、基本国産量販ものだわぁ
ごみが見れるサイクロン式は嫌っ
入居当初の一時期、ムカデやゲジゲジよく出て吸うのに必需だったんです
だから紙パック…
今はコードが自然に巻きもどり、根っこを洗濯ばさみで留めて使用するありさま
それにしてもお掃除してくれる旦那様なんて、素敵いいなぁ~
それとも今は当たり前なんだろうか…
私は蛾を吸い取りました。
いつの間にか部屋の中に大きな蛾がいるのかが不思議です。
夫はきれい好きなので、掃除くらいはやります。
でも料理の才能はありません残念ながら。