公開中の映画「人間失格」を観てきた。
今週は休みがない。土曜日は半日出勤、日曜日も半日出勤となり、一日ぐうたらできないところがツラい。
でも、一日出勤ではないのだから、合間を縫って映画館に行くことにした。
作品からして、太宰治という人は病んでいる。心だけでなく、体も病んでいる。でも、小説は素晴らしい。平成の流行作家よりも、太宰の作品に読みごたえを感じる。4月からの勤務校は、図書館に太宰の本がズラリと並んでいてうれしい。時間を作ってもっと読みたいと思う。
そういう人間にはいいかもしれないが、単に「小栗旬が好き」「沢尻エリカを見たい」だけでは楽しめない映画という気がした。大金持ちの家に生まれながら、その重みを嫌った太宰治。そもそも、メンタルの弱い人間だったのに、流行作家として、期待通りの作品を生み出さねばならぬプレッシャーもあったようだ。病気になっても、酒と煙草を欠かさずに、どんどん悪化していく過程では、「軟弱者、それでも男ですか」と平手打ちをくらわせたくなるくらいイライラした。
ところで、私にはどうでもいい場面に固執する性質がある。二階堂ふみの演じる山崎富栄が買い物をする場面がそれだ。富栄は、太宰が一緒に入水自殺をした相手で、中盤からは心中をほのめかす会話が続いていた。
太宰はカニが好きだったらしい。富栄は、太宰のためにカニを買う。たしか、値札は「千四百圓」ではなかったか。相当な値段だから、屋台のオヤジが「来月、生活できなくなるよ」と声をかけた。
だが、富栄は意味ありげに微笑んで、「いいんです」と答えて代金を払う。「もう来月は生きていないから、いいんです」を略して答えたとも知らずに、オヤジはカニを包んで渡した。
ところが、このあと、太宰に事件が起きたため、富栄の元から走り去っていく。あとは、太宰しか映さない。私の頭の中がモヤモヤとし始めた。
「ねえ、カニは? カニはどうなったの?」
だって、千四百圓じゃないの? そんなに払ったのに、食べさせたい相手がいなくなるって、どういうこと? 割に合わないじゃないの、おかしいでしょ!
ここで一気に、富栄の心境になってしまった。ああ、カニがカニがカニが~!
映画が終わったら夕食だ。この映画館は、新宿伊勢丹の至近距離にある。7階の西櫻亭に向かった。
ヴィシソワーズ。
こんなにクリーミーでコクのあるものは珍しい。十分堪能した。
メイン。
黒毛和牛のカットステーキは少々脂っぽかった。その隣に並ぶ、2つの楕円のものが何だかおわかりになるだろうか。そう、「カニクリームコロッケ」なのだ。
「やっぱ、カニよカニ。うーん、うまっ!」
タルタルソースがよく合い、口の中でとろけて実に美味であった。
デザートはプリン。
トラディショナルな味がして、王道を行く正統派という評価だ。大変満足した。
「ああ、これで、カニの敵をとった気分だわぁ」
次回は、もっとわかりやすくて明るい映画を選ぼう。
私はそう決めた。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
今週は休みがない。土曜日は半日出勤、日曜日も半日出勤となり、一日ぐうたらできないところがツラい。
でも、一日出勤ではないのだから、合間を縫って映画館に行くことにした。
作品からして、太宰治という人は病んでいる。心だけでなく、体も病んでいる。でも、小説は素晴らしい。平成の流行作家よりも、太宰の作品に読みごたえを感じる。4月からの勤務校は、図書館に太宰の本がズラリと並んでいてうれしい。時間を作ってもっと読みたいと思う。
そういう人間にはいいかもしれないが、単に「小栗旬が好き」「沢尻エリカを見たい」だけでは楽しめない映画という気がした。大金持ちの家に生まれながら、その重みを嫌った太宰治。そもそも、メンタルの弱い人間だったのに、流行作家として、期待通りの作品を生み出さねばならぬプレッシャーもあったようだ。病気になっても、酒と煙草を欠かさずに、どんどん悪化していく過程では、「軟弱者、それでも男ですか」と平手打ちをくらわせたくなるくらいイライラした。
ところで、私にはどうでもいい場面に固執する性質がある。二階堂ふみの演じる山崎富栄が買い物をする場面がそれだ。富栄は、太宰が一緒に入水自殺をした相手で、中盤からは心中をほのめかす会話が続いていた。
太宰はカニが好きだったらしい。富栄は、太宰のためにカニを買う。たしか、値札は「千四百圓」ではなかったか。相当な値段だから、屋台のオヤジが「来月、生活できなくなるよ」と声をかけた。
だが、富栄は意味ありげに微笑んで、「いいんです」と答えて代金を払う。「もう来月は生きていないから、いいんです」を略して答えたとも知らずに、オヤジはカニを包んで渡した。
ところが、このあと、太宰に事件が起きたため、富栄の元から走り去っていく。あとは、太宰しか映さない。私の頭の中がモヤモヤとし始めた。
「ねえ、カニは? カニはどうなったの?」
だって、千四百圓じゃないの? そんなに払ったのに、食べさせたい相手がいなくなるって、どういうこと? 割に合わないじゃないの、おかしいでしょ!
ここで一気に、富栄の心境になってしまった。ああ、カニがカニがカニが~!
映画が終わったら夕食だ。この映画館は、新宿伊勢丹の至近距離にある。7階の西櫻亭に向かった。
ヴィシソワーズ。
こんなにクリーミーでコクのあるものは珍しい。十分堪能した。
メイン。
黒毛和牛のカットステーキは少々脂っぽかった。その隣に並ぶ、2つの楕円のものが何だかおわかりになるだろうか。そう、「カニクリームコロッケ」なのだ。
「やっぱ、カニよカニ。うーん、うまっ!」
タルタルソースがよく合い、口の中でとろけて実に美味であった。
デザートはプリン。
トラディショナルな味がして、王道を行く正統派という評価だ。大変満足した。
「ああ、これで、カニの敵をとった気分だわぁ」
次回は、もっとわかりやすくて明るい映画を選ぼう。
私はそう決めた。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
そんな障害があるとは。
内容はともかく、文章の書き方は参考にしたい部分が多いかなぁ。
図書館で漱石を借りてきました。
なんだか、現代作家には疲れてしまって。
洗練されていない文に終始する作家も多いし。
しかし、川端康成はダメでした。
エンタメ度がゼロに近いです。
映画も今はいい作品がないような感じですね。
愛着障害の典型ですよね。
母性をくすぐられて世話を焼く人がいると、依存して投げ捨ててを繰り返しながら愛を確かめる。
「こんなぽくでも愛してくれる?」
ここを理解してから太宰の小説を読むと、はしれメロスも斜陽も人間失格も、根源はひとつであることが見えてきます。
映画は明るく笑えるか、涙がこぼれたけど感動するかがいいかな。
復活おめでとうございます♪
久しぶりに記事が読めて満足でしたよ。
負担にならない程度に更新なさってくださいね~。
片割れ月さんはマガジンだったんですか。
私はサンデーかな。
叔父が毎週買っていたので、遊びに行くたび読んでいました。
おそらく、カニは富栄が一人で全部食べたのではないかと……。
私が同じ立場だったら、絶対そうします(笑)
先週、漱石を借りてきたので、頑張って読破しますよ。
あいかわらず食い物を前にしてますね(笑)
で、カニはどうなりました?!
若いときから小説は苦手でほとんど読みません、
中学くらいの時、同級生たち(特に女生徒)が読書感想を語っているのを横目に少年マガジンの口でしたから(笑)
でも中学生が太宰の人間失格や漱石のこころなど読んで響くものがあるとすれば私はずいぶんな子供だったと思います(_ _;)…パタリ
小栗旬でなければ観に行かなかったと思います。
髪型や服装など、ご本人を真似ていましたが、美化しすぎて眩しかったです(笑)
カニよりも、カニを買う際のセリフが重要なのでしょう。
あとはどうでもいい扱いとなっていました。
しかし、私はカニが気になって……。
食事の満足感は格別でしたよ。
ステーキはもうちょっとサッパリしていた方がよかったけれど。
楽しい一日でした。
超高額なカニ!女性ならつい気になっちゃいますね。
後で食べられたならいいんだけど・・・
その分砂希さんがしっかり堪能でき、他人事ながら
ホッとしました。
王道のコース、映画より満足度が大きそう?
製作者から見たら、「は? そこ?」となるようなレビューを書いてしまいました。
私も、誰かを喜ばせたくて、大枚はたくことがあります。
でも、空振りに終わったことはなかったかな。
だから、何だか富栄が気の毒で……。
それだけなんですけどね。
お金持ちに生まれたことがないので、太宰の気持ちはわかりません。
映画の見終わったあとのお食事でカニが食べれて満足ですね。