これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

富士の高嶺にココアパウダー

2024年11月03日 17時19分16秒 | エッセイ
「そういえば、富士山5合目に行ったんだっけ」
 10日ほど続いたトラブルがようやく解決して、心の平穏を取り戻したとき、意外に楽しかったバスツアーのことを思い出した。
 職場きってのお祭り男である村井さんが、着任したばかりの外国人講師を楽しませたい一心で、「みんなで『富士山5合目とシャインマスカット食べ放題ツアー』に参加しよう」と声を掛けてくれたのだ。その日は祝日で、家でまったりしたかったけれど、親睦のためでは断りづらい。加えて、大好きな富士山にはしばらく行っておらず、渡りに舟という気もした。目標人数は20人ということもあり、一人でも多い方がよいのではと思って娘を誘い参加した。
「えっ、5人?」
「うん。ほとんどの人から断られちゃった」
 村井さんは苦笑いしていたが、落ち込んだ様子もない。雲一つない上々のお天気だし、都合のつく少人数で楽しめばよかろう。
「シャインマスカット楽しみ! あと富士山5合目には美味しいメロンパンがあるって、松井玲奈ちゃんが言ってたよ」
 娘は山に興味がない。でも、メロンパンとシャインマスカットには強く惹かれているらしく、母娘の利害関係も一致した。この時点で、バスツアーに高評価がつくことは明白である。
「じゃあ、皆さん、バスにお戻りいただく時刻は11:30です。お気をつけて」
 添乗員に送り出され、まずはメロンパンに急いだ。富士山は逃げないが、メロンパンは売り切れるかもしれない。この順番が正しいに違いない。
「あったあった」
 


 幸い、店には数人並んでいただけだ。5分待ち、ホカホカの焼き立てメロンパンにかぶりつくことができた。



 てっぺんの茶色の粉はココアパウダーだろうか。メロンの香りによくマッチしている。
「おいし~」
 夫は家に置いてきたので、みやげとして3個入りのテイクアウトも購入した。我ながら「まだ食べる気なの?」と呆れてしまったけれど。



 温かいコーヒーも飲み、腹ごしらえをしてから富士山に向かった。
 やはり逃げていなかった。



 5合目は圧倒的に外国人が多く、日本人は2~3割といったところか。わけのわからない言葉が飛び交っているが、どの人も笑顔で富士山をエンジョイしている雰囲気だった。
「いいじゃん、外国に来たと思えば」
 村井さんはあくまでもポジティブだ。遠くに見える湖は山中湖だと言っているが、本当だろうか。



 バスに戻り、昼食会場に向かう途中で、景色のよい場所を通った。



 絵になる一枚に感謝である。
 富士山の近くに住んでいる人が羨ましい。
 お昼はほうとう。富士山で冷えた体が温まり、午後の活動の準備をした。



 最後に、シャインマスカットの食べ放題でしめくくった。
「甘い房は黄色ですからね。黄色っぽい葡萄を探してください」
 農園の方のアドバイスに従い、なるべく黄色のシャインマスカットを探す。
「これなんかどう?」



「いいんじゃない」
「うん、甘い!」
 さすがに1房でお腹いっぱいになった。おみやげに購入することもできるので、夫にも買って帰ることにした。もちろん、私たちも横取りするけれど。
 帰りのバスでぐっすり眠る。
 職員プラス家族という変な組み合わせだったが、好きな場所で美味しいものをいただく企画は見逃せない。
 面倒くさがらずに、気になるところには足を運ばなくっちゃ。
 楽しいことがあれば、イヤな問題も乗り越えられるしね。

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コメント (4)
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