しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「インタビュー・ウィズ・ザ・プリズナー」 皆川博子 

2021年11月08日 | 読書
「インタビュー・ウィズ・ザ・プリズナー」 皆川博子   早川書房 

18世紀、独立戦争中のアメリカ。
記者ロディは投獄された英国兵エドワード・ターナーを訪ねた。
なぜ植民地開拓者(コロニスト)と先住民族(モホーク)の息子アシュリーを殺したのか訊くために。
残されたアシュリーの手記の異変に気づいた囚人エドは、追及される立場から一転、驚くべき推理を始める。
それは部隊で続く不審死やスパイの存在、さらには国家の陰謀にかかわるものだった……
『開かせていただき光栄です』シリーズ最終作。
<裏カバーより>

『開かせていただき光栄です』『アルモニカ・ディアボリカ』の続編。






英国から、独立戦争に入ったアメリカに来たエドとクラレンス。
この物語の主人公は、アシュリー。
白人の父と先住民族イロクォイのモホークを母に持ち、どちらの暮らしにも慣れ親しんでいる人物。
アシュリーを通して、モホークの生活や考え方が良く分かる。
インディアンとは決して言わないアシュリーなので、そう書きたくはないと思ってしまう。
自然ときちんと向かい合って暮らしていると、道理がきちんとする。
自分の欲だけを追求すると歪みがたくさん出て来る。
この物語は、アシュリーの手記とクラレンスとロディの語りからなっている。
なぜ、エドがアシュリーを殺したのか。
読んで行くうちに、これは違うことなのだと気が付くのだが。
こんな綿密な策を弄していたなんて、凄い。
しかし、歴史から分かっていることとは言え、つらい歴史。
最後のクラレンスの手紙では涙した。
人間はどこまでも残酷になり、どの時代も理不尽だ。
それは今の時代も形を変えて続いているのだと思う。
3部作はどれも面白かったが、どれも悲しい。
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