「スラン」 A・E・ヴァン・ヴォクト ハヤカワ文庫SF
SLAN 浅倉久志・訳
S(サミュエル)・ランが創造したと言われる新人類スランは高い知能と人の心を読める能力を持つ。
胎児に手を加えたとして人類は怒り恐れ、スランを迫害し殲滅しようとする。
9歳のスランのジョミー・クロスは、母親とひっそり暮らしていたが見つかり母親は射殺されるが、ジョミーは人間の老婆グラニーに助けられる。
グラニーは社会に不満を持っていて、スランを使い金儲けをしようと企んでいた。
ジョミーは身の安全の為、グラニーと暮らす道を選ぶ。
ジョミーの父親は科学者で、原子エネルギーの強力な利用形態を完成させそれをスランの未来の為に、ジョミー託して亡くなっていた。
それは催眠によって深層に埋め込まれ、15歳になったジョミーに働きかける。
ジョニーは父親の夢を実現する為に動き始める。
一方、スランの絶滅を政策にしている独裁者キア・グレイの宮殿には1人の若いスランのキャスリーン・レイトンが囚われていた。
新人類に対して、人類はどうするのか。
新人類の方が優秀でも、それを迫害する構図は他の物語でも見られる。
やはり、組織だっている方が強いのだろうか。
人類とスランの他に、スランの特徴の一つの金髪を持たない無触毛スランも登場して、三つ巴の展開。
と言っても、スランで活躍するのはジョミーだけなのだが。
社会が、差別や偏見、戦いの中にあるのは今の社会と同じだ。
純スランは戦いや争いごとを嫌う。
その性格が希望を見せてくれる。
物語はラストになり、思わぬ展開を見せる。
しかし、これから社会がどうなって行くかは全く分からないで終わってしまう。
スランのように、相手の考えている事が分かったらどうなるだろう。
ジョミーとキャスリーンの出会いは素晴らしいものになったが。
みんながみんなそうだったら、やはり上手く行かないような気がする。
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