「誘拐犯」 シャルロッテ・リンク 創元推理文庫 上・下巻
DIE SUCHE 浅井晶子・訳
ロンドン警視庁の孤独な刑事、ケイト・リンヴィルは、敏腕警部だった父の惨殺現場となった生家を貸し家にしていたが、家の処分を決意。
宿を取った近くのB&Bの14歳の娘アメリーが行方不明になる。
捜査にあたるのは、ケイトの父の事件の時と同じ地元警察のケイレブ・ヘイル警部だった。
その頃、1年前に失踪した少女の遺体が発見された。これは同一犯による誘拐なのか?
しかし、アメリーは奇妙な状況下で発見される。
防波堤から海に落ちかけていたところを男たちに助けられたのだ! 何があったのか?
ケイトは管轄外の事件に再び巻き込まれる。
<文庫本上巻1頁目より>
B&Bの娘の失踪と発見。
娘は頑なに口を閉ざし何も語らない。
謎に満ちたこの事件と、遺体で発見された少女の事件に関連はあるのか?
事件はそれだけではなかった。
母親に虐待を受け腕にひどい火傷を負った少女の行方不明事件、父親にがんじがらめに束縛されていた少女の失踪事件。
どの少女も14歳だった。
ケイトはB&B夫婦に真相解明を懇願されるが、管轄外の刑事が口を出すわけにはいかず、密かに調査を始める……。
<文庫本下巻1頁目より>
予想外の展開というより、もっと複雑に色々絡みあい、そしてラストに向かって集まって行く。
こんな事になっていたのだと、不思議な事に成り行きに感心する。
始めから犯人の叙述があるが、これもトリックにはなっている。
丁寧に書かれているので、その時の状況や雰囲気がその場にいるように感じられる。
事件が起こると、不随して色々な事がある。
それも物語を立体的にしている。
関係がある事件、なかった事件、見極めるのは難しい。
警察はいつもこんな風に、事件を考えているのだ。
事件は面白かったが、事件の他にケイト・リンヴィル自身の事が書かれる。
心情やどうやってケイトと言う人物が出来上がって来たのか。
地味で目立たない事を気にするケイトだが、そこまで他人の目を気にする必要があるのだろうか、と思ってしまう。
その点はあまり共感が出来ないのだ。
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