しましましっぽ

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「時間封鎖」  ロバート・チャールズ・ウィルスン

2024年09月11日 | 読書
「時間封鎖」  ロバート・チャールズ・ウィルスン  創元SF文庫 上・下巻
 SPIN                      茂木健・訳

それが起ったとき、ぼくたち3人はまだ十代はじめだった。
その夜、ぼくらは見たのだ―地球から星々が消えるのを。さらに、月も。
翌日、太陽だけが昇ってきたが、それは贋者の太陽だった・・・・・・。
地球周回軌道上にあったロシアの宇宙船が強引に再突入して帰還した。
飛行士は証言した。地球が一瞬にして暗黒に包まれ、彼らは1週間すごしたのだ、と。
だが彼らが落ちてきたのは、異常事態発生の直後だったのだ―。
漆黒の界面の外では1億倍のスピードで時間が流れていた。
地球は何者かの手によって時間的に封鎖されてしまったのだ!
    <文庫本上巻1頁目より>

漆黒の界面が地球を包んだ現象は、「十月事件」あるいは「スピン」と呼ばれるようになった。
また、この物体を作り出した存在を、人類は仮定体(仮定上での知的体)と名づけた。
だがその正体は、まさに仮定上のものにすぎない。
確かなことはひとつだけ―このまま1億年倍の速度で流れる外側で、太陽は巨星化し、数十年のうちに地球は肥大化する太陽面に飲み込まれてしまう。
人類は途方もない策を講じた。
漆黒の界面を突破してロケットを打ち上げ、人間を火星に送り込む。
そこを1億倍の速度でテラフォーミングし、地球を救うための新たな文明を育てるのだ。
計画の行く末は。迫りくる地球最後の日を回避できるのか?
     <文庫本下巻1頁目より>






物語の語り手は時間封鎖(スピン)の時は12歳のタイラー・デュプリー。
そして、13歳のダイアン・ロートンとジェイスン・ロートンの双子の姉弟の3人を中心とした物語。
タイラーの母親が働くお屋敷の子どもがダイアンとジェイスンで、遊び相手だった。
SFと言うより、この3人の物語。                                                                                                                    
時間封鎖された地球という特殊な環境ではあるが、それよりも青春物語のような雰囲気がある。
特に、スピンに対する対応でジェイスンとダイアン真逆。
双子の父親E・Dロートンは、実業家で政府の宇宙関係と繋がりがあり、火星計画にもかかわっている。ジェイスンは跡取りとして期待されているので、おのずとスピンに積極的に係わる。
ダイアンはいつ終わるとも知れない世界に、精神的に宗教に救いを求める方へ傾いて行く。
2人の間で、どちらとも繋がりのあるタイラーはどうだったのだろう。
タイラーにはスピンより、ジェイスンとダイアンの方に気持ちが行っている。
しかし、ジェイスンから情報が入って来る。
タイラーは一般の人より内輪の事もわかるが、決定事項を聞くと言う事には変わらない。
だから、この状態をどう考えるか、どうすべきかなどはSF的な事は特にない。
そして、火星に人が住めるようと考え、成功したのに、いざ火星から来ると、なんとなく敵対心を持っている感じで不思議。
結局、最後まで仮定体の正体は分からないのだが、「ターミネーター」の世界を思い出す。
こちらは兵器ではなく、人類を守る事が優先されたプログラムがネットワークを増やしながら増殖しているような。
機械ではないかという話もあり、ジェイスンは人間だから耐えられなかったのだろう、と。
3部作と言う事ではっきりするのだろうか。



自分のブログを見ていて、「時間封鎖」のタイトルを見て、読んだ記憶がなかった。
2009年に読んでいた。
そして、3部作なのにこの後を読んでいなかったので、今回3部作をちゃんと読むことにした。
しかし、「時間封鎖」は読んでいても全く記憶に残っている所がなかった。
大丈夫か、自分。
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