「友情よここで終われ」 レネ・ノイハウス 創元推理文庫
IN EWIGER FREUNDSCHAFT 酒寄進一・訳
ピア・サンダーの元夫で法医学研究所の所長、ヘニング・キルヒホフが取り組んだ事件を基に小説を書き、ベストセラーになる。
登場人物が誰か分かる書き方で、ピアはちょっと困っていた。
そんなヘニングから、自分のエージェント、マリア・ハウシルトが友人のハイケ・ヴェルシュと連絡が取れないと相談され、ピアがハイケの家を訪れる事になる。
ハイケは自宅にいなかったが、認知症の父親が衰弱して残され、血痕も見つかった事から事件として捜査を始める。
ハイケは長年、大手の出版会社ヴィンターシャイトの文芸部長だったが解雇されたばかりだった。
ヴィンターシャイト社は親族会社で、社長が変わったばかりで、社内でも軋轢が生まれていた。
解雇の腹いせに、ハイケは担当のベストセラー作家フェルテンの盗作を暴露していた。
フェルテンが第一容疑者に上がるが、調べるとハイケは不評を買う人物であった事が分かって来る。
「刑事オリヴァー&ピア」シリーズ第10弾。
「若い時代の仲良しグループがあり、その時あった秘密の事件が引金になり、年数を経て、悲惨な事件が起こる」と言うよくある物語。
誰が犯人であっても不思議ではない。
今回は出版社が舞台で、それに相応しい、日記や小説が小道具として使われる。
タイトルに「友情」とあるが、昔から友情があったとは思えない。
打算的な関係こそ、長続きすると言う事か。
今回のピアは割と穏やかで、あまり嫌な感じもなく普通の警察官になっていた。
シリーズも重なると、それぞれの登場人物のプライベートも当たり前のように気になって面白い。
まさか、ヘニング・キルヒホフが小説家になるなんて。
しかも、タイトルが同じと言うのが面白い。今読んでいるのはヘニングが書いたのかも。
オリヴァーの私生活も色々あって大変だ。
別れてしまっても、カロリーネとグレータがその後どうなるか、知りたい。
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