「街角の書店 18の奇妙な物語」 フレドッリック・ブラウン、シャーリイ・ジャクスン他
創元推理文庫 中村融・編
江戸川乱歩の造語である〈奇妙な味〉とは、SFにもミステリにも分類不能な、異様な読後感を残す短編を指す。
本書には、ひねりの利いたアイデアストーリーから一風変わった幻想譚まで、多様な味わいの
18篇を収めた。
おばあちゃんの買い物メモが人生の選択に迷う女性にもたらしたささやかな奇蹟を描く、シャーリイ・ジャクスン「お告げ」、書かれることのなかった傑作が集まる謎の書店を舞台に贈る、ネルスン・ボンド「街角の書店」など埋もれた名作に加え、雪に閉ざされたバスの発着所での男女の対話が思わぬ結末を迎えるケイト・ウィルヘルム「遭遇」他、本邦初訳多数で贈る。
<文庫本一頁目より>
「肥満翼賛クラブ」 ジョン・アンソニー・ウェスト
肥満コンテストに優勝した男は、本人の希望の食べ方で食べられる。
ある時、食べられる男が腹いせで、生で食べられたいと言う。
「ディケンズを愛した男」 イーヴリン・ウォー
探検隊は遭難して、1人の生き残りが僻地で出会った男はディケンズを読んでもらうのを喜ぶ。
そのため、男は探検隊の男の希望である、助けを呼ぶことはせず、薬を盛る。
「お告げ」 シャーリイ・ジャクスン
おばあちゃんが家族のプレゼントをメモした紙をバスで落とす。
拾った娘は結婚を迷っていたが、メモの通りの物を追いかけたら、結婚する決心が出来る。
「アルフレッドの方舟」 ジャック・ヴァンス
神が雨を降らせて、と確信した男が方舟を造るが、周りの人は信じなかった。
やがて方舟は完成して雨が降って来る。激しい雨で方舟に乗せてくれと言うが、男はもう乗れないと断る。
しかし、みんなはアルフレッドを舟の外に投げ落とし乗り込む。
「おもちゃ」 ハーヴィー・ジェイコブズ
ハリーは自分のおもちゃだったトラックが売られているのを目にする。
お店に入るとまさに自分のトラックだった。
周りを見回すと、そこには何故か自分のおもちゃばかりあった。
「赤い心臓と青い薔薇」 ミルドレッド・クリンガーマン
病院で隣り合わせの女性の話。
息子が連れて来た友人が勝手に息子の服を着たりする。
やがて、その子は自分の事をマムと呼ぶようになる。
その子を追い出した後、出会う男の子がマムと言うようになる。
「姉の夫」 ロナルド・ダンカン
戦場からの休暇で帰る時に列車で知り合った男と一緒に帰る。
家では姉が迎えてくれる。
姉はその男と結婚する事になるが、急にいなくなる。
「遭遇」 ケイト・ウィルヘルム
雪に閉じ込められたバス停の男女。
2人は協力して夜を乗り切るが、朝、女だけで1人だったとみんな思う。
「ナックルズ」 カート・クラーク
サンタクロースとは真逆な存在のナックルズを作り上げ、フランクは子どもに語る。
ナックルズは恐怖で子どもたちに言う事をきかせる存在。
ナックルズは幼い男の子や女の子を食べると。
やがてそれは仲間うちでも話題になり、広がっていく。
「試金石」 テリー・カー
本屋かと思える店で、試金石と言われる、握るとしっくりする石を購入する。
しかし、その石は握っていると段々自分とは違う感情が沸き起こる。
「お隣の男の子」 チャド・オリヴァー
ラジオ番組で出演した男の子は、人殺しの話を始める。
たくさんの人を殺した。
それはアンクル・ジョージが後始末してくれるからと。
司会者はそれを何とかかわして無難に済まそうとするが。
「古屋敷」 フレドリック・ブラウン
思い出が次々と現れる屋敷。
しかし、暗闇が迫り、最後は出して欲しくなるが。
「M街七番地の出来事」 ジョン・スタインベック
子どもが噛むチューイングガム。
ある時、ガムが僕を噛んでいると。
口から出してもガムは息子の口の中に戻ろうとする。
「ボルジアの手」 ロジャー・ゼラズニイ
少年は萎えた手を行商人から買って付けて貰う。
その在庫は、前の人物は懐に隠していたと言う。
その少年は付いた手を高く掲げて「はい」と言う。
「アダムズ氏の邪悪の園」 フリッツ・ライバー
富豪のアダムズは叔母から受け継いだ黒魔術があった。
髪や爪など、身体の1部と写真を魔法の黒い種に巻き付け植えると、その人物の植物が生えて来る。
その植物の扱いが本人に影響する。
ある時、間違えて、自分の髭を巻き付け植えてしまう。
「大瀑布」 ハリー・ハリスン
大瀑布の近くに住んでいる男にインタビューに来たジャーナリスト。
その男は滝から落ちて来るものを色々拾っていた。
大瀑布の上には何があるのか。
「旅の途中で」 ブリット・シュヴァイツァー
転んで頭に衝撃が走る。
目を開いて見えたのは自分の首のない立った身体だった。
「街角の書店」 ネルスン・ボンド
書かれることのなかった傑作が集まる謎の書店。
それを否定して店を飛び出した作家の男は。
奇妙な味と言う事で、まさにそんな読後の作品たち。
ラストがはっきりしているものと、どう考えたら良いのだろうと考え方次第のもの。
自分としてははっきりしていた方が好きだけれど。
「お告げ」のようなのが好きかも。
「ナックルズ」も、感心しきりと言うか納得の物語。
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