しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「領主館の花嫁たち」  クリスチアナ・ブランド 

2015年06月13日 | 読書
「領主館の花嫁たち」  クリスチアナ・ブランド   東京創元社   
  THE BRIDES OF ABERDAR         猪俣美江子・訳

一八四〇年、当主の妻を若くして失ったその領主館は、悲しみに沈んでいた。
そして、愛らしい双子の姉妹の家庭教師として館を訪れたテティことテターマンもまた、癒しがたい傷を負う身であった。
屈託なく懐いてくる、見分けがつかないほどよく似た双子の姉妹に、徐々に生きる希望を取り戻していくテティ。
しかし、館に頻発する怪異が、テティと双子の姉妹の運命を、容赦なく翻弄していく…。
呪われたヒルボーン一族だけが理解できる、恐ろしくも美しい秘密とは?
      <カバー内側より>









呪いが掛かった館での生活。
まだ実態がない時は、冷たい手を感じる風で情緒的な感じがした。
後半、あんなにはっきりと姿を現すとは思わなかったが。
少し雰囲気が変わった感じもあるが、こういうのも在りかなと思えた。
リネスといる時は、ちょっとコメディな要素もある。
しかし、クリスティーンの時はまた妖しげな風に。
そして、呪いはテティの気持ちも左右させる。
テティやヒルに係る物語も、色々な謎を含んでいて面白く展開する。

クリスティーンとリネスの対比も面白い。
ここまではっきりしていなくても、このような事はあるだろう。
子どもを育てるのは大人の係わりが大きい。
「三つ子の百までも」というように、3歳前に身について事は性格になってしまう。
この物語は3歳より後だと思うが、性格もあるがきっと助長されてきたのだろう。
リネス本人は理不尽な事をしているとは思っていない。
正当だと言う理由が自分の中にあり、そう信じてしまう。
クリスティーンも、それを受け入れていたのは、心の優しさと大きさ。
ひとつの事だけが叶えばいいと思っていたのに、それが壊される。
あまりに理不尽過ぎるけれど、そこでも受け入れてしまった。
そこから、少しクリスティーンは変わった気がする。
それがラストのクリスティーナを巡る出来事。
全ての決断を自分でして、去って行ったクリスティーン。
最後まで、クリスティーンは報われずに終わってしまった。
とても雰囲気のある、悲しい物語。

テティの悪意も悪霊の呪いのせいにしてなっているが。
それは本来持っている種があるからだろうか。
テティの物語もかなり興味深く、双子の人生に係って行く。
愛と憎しみの激しさは、思わぬ事をさせる。
クリスティーンには、悪意が働かないのはそういう種がないからなのだろうか。
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