「自由研究には向かない殺人」 ホリー・ジャクソン 創元推理文庫
A GOOD GIRL’S GUIDE TO MURDER 服部京子・訳
リトル・キルトンに住む高校生、ピッパ(ピップ)・フィッツ=アモービはEPQ(自由研究で得られる資格)の自由研究のテーマを『2012年にリトル・キルトンで起きた行方不明者の捜査に関する研究』にして取り掛かる。
それは5年前、当時17歳の高校生、アンディ・ベルが失踪。
その直ぐ後、ボーイフレンドのサリル(サル)・シンが森で死んでいるのが見つかり、状況からサルが殺しで自殺をしたとして、処理された事件だった。
アンディは今も見つかっていなかった。
ピップは最初にサル・シンの家を訪ねる。
シン家はインド人であることも加わり人殺しの家として悪意を向けられながらひっそりと生活していた。
応対に出た、サルの弟ラヴィにピップは言う。
「わたし、あなたのお兄さんがやったと思っていないから。それを証明しようと思うの」
そう、ピップは自由研究を楯に、サルの無実を証明したかったのだ。
ピップとラヴィの捜査が始まる。
5年前の2012年に起きた事件を調べて行く高校生のピッパ(ピップ)・フィッツ=アモービ。
ピップの性格が良いから、読んでいて応援したくなる。
ラヴィ・シンとのやり取りも、気遣いと優しさがあり、読んでいて快い。
ピップがラヴィを遠ざけようとした時は、ラヴィに“気が付いてあげて!”と。
ラヴィも賢い子で良かった。
何だか、見守るように読んでいた。
調べるには、インタビューもするが、インターネットでの情報も重要。
SMSの写真で分かる事も多いのだ。
パソコンやアプリと使いこなすところが今風で賢いなーと。
しかし、人を信用し過ぎでハラハラする所も。
集まった情報から犯人を捜していくが、ピップより先に気が付くこともあった。“それを見落としていいの”と。
どうしてサルはアンディの本質をなかなか見抜けなかったのだろうと、それが不思議。
しかし、最悪な殺人は1つ。パニックになっていたとは言え、あんな酷い事が出来たのはやはりどこかに偏見があったのだろうか。
そして、ピップも1つも罪を見逃している。それは身近にいる人が大事だから。
それなら、犯人とあまり変わりはないのでは。この決断だけはあまり納得出来ない。
厳し過ぎるだろうか。
単に告発するのではなく、罪の償いを本人に問いかけたらいいのに。
似たような物語を読んだような気がするのだが、思い出せない。
主人公のピップと似た感じの女の子だった。
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