しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「死亡推定時刻」  光文社文庫

2024年08月10日 | 読書
「死亡推定時刻」  光文社文庫  朔立木     

山梨県で地方の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。
警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗。
少女は死体となって発見された!
県警は、遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕。
執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。
有罪は確定してしまうのか?そして真犯人は?
現役の法律家が描く、スリリングな冤罪ドラマの傑作!
   <文庫本裏カバーより>





冤罪は保身に走った県警本部長の死亡推定時刻の操作によって決まる。
担当の刑事の強い思い込みもあった。
怖いのは、捜査が変な方へ行っていると分かってもそれを修正しようとしない、“組織が大事”と思う気持ちがあるから。
所詮、他人のことなんて関係ないのだ。
正義より組織や自分の地位が大事。
裁判も、ほぼ状況証拠しかないのに、自白だけを信じて、判決を言い渡す。
裁判所にも何か圧力がかかったのではと思えるくらい。
これでは、誰かを庇って嘘を付いても見抜けないではないか。
あまりにもお粗末。
犯人も、他人が冤罪で囚われ死刑判決を受けても平然としている。
そしてその人を守ろうとする家族と組織。
刑事や検事など、1人の思い込みですべてが決まってしまう事にも怖さを感じた。

淡々を事実だけを書いた、ドキュメントのような小説とあったが、まさにその通り。
余分な事がない分、テンポが良い。
取り調べや裁判に関する事で、こんなにも色々手続きがある事に大変さを感じる。
ただ、こんなにも簡単に冤罪が起こる事に唖然とする。

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