しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ガソリン生活」  伊坂幸太郎

2014年05月05日 | 読書
「ガソリン生活」  伊坂幸太郎    朝日新聞出版    

車が語る物語。
緑色のデミオは母子4人家族の望月家の愛車。
長男の良夫は20歳で免許を2ヶ月前に取ったばかり。
長女のまどかは高校生で、愛想がないが江口という恋人がいる。
次男の亨は10歳の小学5年生。
しかし、望月家で精神年齢が1番高いのは亨だという共通認識がある。
子どもらしくないから、学校でも苛められている、と言う。
良夫が亨を乗せて行ったシネコンの帰り、亨は母親が車内に置いて行った週刊誌を読んでいた。
そこには、仙台の名家から女優になり、結婚して引退して仙台に住んでいる荒木翠が浮気をしているという記事が出ていた。
事故渋滞でのろのろ進んでいて、駐車場に入った時、突然1人に女がデミオに助けを求めて乗り込んで来る。
それは、荒木翠だった。
翠と普通に会話を交わし、デミオを誉めてくれたので、デミオの好感度もアップ。
しかしその翌日、翠はダイアナ妃の様な車の事故で浮気相手とともに死亡する。
前日に良夫が翠を車に乗せたことを知った記者が取材を申し込む。
良夫はその記者から、翠を追いかけた記者の名前を聞きだし、会いに行く。








車が語るのが新鮮。
車の考えや気持ちが、ああ、そうなのかと納得するほどしっくりする。
ただ、自分は車を持っていないし運転もしない。
その分共感度は薄いかも。
そして出会う車の車種にも詳しくないので、イメージが出来ないから面白さが半減かも知れない。
でも、車を可愛く思える。
持っていたら手放すのは考えてしまうかも。
フランク・ザッパの言葉も良い言葉。
『人間が99%失敗する』

人間世界で起こっている事件は、色々と絡み合って複雑でそれが綺麗にまとまっていく面白さはある。
人間や車たちの会話も、いつも通り面白い。
ただ、全体のストーリーとしては、今ひとつワクワクドキドキで読み進めるでもなく、あっと驚くドンデン返しがある訳でもなく。
何となく、普通な感じ。


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