しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「嗤う伊右衛門」 京極夏彦 

2009年08月29日 | 読書
「嗤う伊右衛門」 京極夏彦   角川文庫

御行の又市は、薬種問屋の依頼を受け、御先手組与力の伊東喜兵衛に直談判に行く。
伊東喜兵衛に手ごめにされた娘、梅を正式に娶るようにというものだった。
しかし、開き直られた喜兵衛に切られそうになった又市を救ってくれたのは民谷又左衛門。
又左衛門には岩という娘がいた。
岩は疱瘡を病み、姿崩れても、なお凛として正しさを失わぬ女。
岩を不憫に思い、お家断絶を憂う又左衛門。
又市は岩に婿を斡旋することになる。
婿に斡旋したのは、ついぞ笑ったことなぞない生真面目な浪人・伊右衛門。



今まで「四谷怪談」と知っていた物語とは全く違っていた。
実際、この物語には幽霊は存在しないのだが、その雰囲気は充分伝わってくる。
幽霊を見るのは、人間の心なのだ。
岩も伊右衛門も自分の考えをしっかり持った人間で、相手の気持ちを思いやることも出来る。
それなのに、相手の気持ちを考え過ぎ、勝手に思い込んでしまい、お互い理解することが出来なかった。
それが凄く残念。
やはり、人の気持ちは分からないもの。
言葉に出して伝える必要があるという事か。
しかし、自分の気持ちも、相手の態度や言葉によって突然変わることもあるだろう。
やっぱり難しい。
そして、あまりにも頑固なのも、やはり考えものだろう。

言葉に出さなくても分かりあえるのが「ニュータイプ」なのかもと思ったことがある。

今回も又市が登場。
結構、物語に関わるのだが、あまり役には立っていない。
まだ力不足の時なのかな。
もっと活躍して欲しかった。


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