しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「いのちのパレード」 恩田陸

2008年09月15日 | 読書
「いのちのパレード」 恩田陸     実業之日本社
 THE GRAND PARADE

15編からなる短編集。
『月刊ジェイ・ノベル』に掲載されたものに、書き下ろし「夜想曲」が入る。
作者によるあとがきに、「無国籍で不思議な短編集を作りたいという思いつきから「奇想短編シリーズ」と銘打って連載したもの」とある。

「観光旅行」
石の巨人の手が地面から生えてくる村へ、秘密の観光旅行。

「スペインの苔」

「蝶遣いと春、そして夏」

「橋」
東と西に分けられてしまった都市で、東西をつなぐ橋。
監視しているのは、役目をお金で変わった女性たち。

「蛇と虹」

「夕飯は七時」
想像したことが、実体をもって現れる3人兄妹。くしゃみをするとそれは消えるのだが。まだ幼い妹はとんでもないものを想像ので、危ない。

「隙間」
隙間恐怖症の男。

「当籤者」
当たった人を殺すと賞金がもらえる制度。まさか自分がと当選通知に怯える男。

「かたつむり注意報」
巨大なかたつむりが現れる街。

「あなたの善良なる教え子より」
悪を失くす為に、自分の信念を正義と考える男。

「エンドマークまでご一緒に」
日常をミュージカルで演じたら、こんなことになる。

「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」

「SUGOROKU」
何故かある年齢になると呼び出され、双六の様に部屋を進んでいく。
上がりの後は家へ帰れると思っていたが、そうではないと怯える少女に出会う。

「いのちのパレード」
絶滅したいのちもふくめ、どこかへ去って行く。
人間は取り残され、何を見ることになるのだろう。

「夜想曲」
今、人間が欲しがらなくなった発想力。想像力。
小説を書くロボットがそれを受け継ぐ。


前に恩田さんの短編集を読んだ時は、長編の一部や序章のようで物足りなさを感じたが、これはどれもひとつの物語としてまとまっていて、面白かった。
短編ならではの作品たち、といった感じがする。
「奇想」ということで、不思議な雰囲気や超能力的なものが多い。
普段日常にあるものをちょっと違う角度から見てみたり、実際の世界に取り入れたらこうなる、というようなものも。
怖いものもあるのだが、ユーモアある。
なんとなく懐かしいような、さらりとした感触の物語が多かった。
勿論怖いものもあるのだが。
印象深いのは「かたつむり注意報」、考えさせられるのは「あなたの善良なる教え子より」。
ユーモアのある「夕飯は七時」も好きだ。

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