一花一葉  NewTraditonal IKEBANA 

徒然なるままに・・季節の植物に 心を遊ばせて

1602- 川尻屋の青藍堂

2016-02-24 | 生け花
 17歳で石川県展、22歳で日展初入選 を果たした陶芸家 長谷川紀代さんの才能と陶歴は 他の追従を許さないと言えるでしょう。
加賀の御用窯 若杉窯 川尻屋七兵衛の末裔として 小松に生を受けた長谷川さんにとって 一時期途絶えた若杉窯を再興することを 大きな目標として60年間陶芸に励まれた様です。
 30年前、お目にかかってから今日まで いつも変わらぬ優しさで 接して下さった彼女から 明治6年三代目 川尻喜兵衛(彼女の曾祖父)さんが 神戸・元町3丁目に九谷焼貿易の先駆者として「青藍堂」と言うお店を開き 作陶と貿易業を営なまれたと聞きました。

 長谷川さんが、神戸で初個展を開くにあたって この青藍堂を特定したくなり 神戸文書館や神戸博物館に 足を運んだ結果「湊の魁」と言う元町商店街の様子を描いた書物の中に 元町3丁目「九谷焼売捌所 北義衛門」という看板を掲げた店があったのを確認しました。
 更に、北義衛門をネットで調べた処 加賀藩の鉄砲奉行に属していた人物の様です。ここで、北義衛門と青藍堂がどう言う関係だったか解りませんが 公の資料で調べた限り 青藍堂の名前は 何処にも見つかりません。
 このことは、若杉窯が何か不幸な出来事で 途絶えたことに関係があるのではと想像しています。

 文政7年(1818)、加賀藩の命により金沢から初代川尻屋七兵衛が 小松若杉窯に来て以来 脈々と続く六代目長谷川紀代さんは 今年喜寿、七代目・八代目も作陶に励んでいるとの事。歴史の謎は、解けない事も人々にロマンを感じさせます。

 個展二日目に、青藍堂跡と思われる 元町三丁目の老舗の放香堂(お茶屋さん)の辺りへ ご案内しました。
小松の長谷川さんの家には、当時 元町三丁目に掲げられていた青藍堂の看板が現存しているそうです。

 花材 ・紅梅 ・おたふく南天
 花器 ・手箱(金箔貼り)



 陶額 長谷川紀代作


 資料「湊の魁」神戸市立博物館所蔵 より