テニスのダブルスにおける「じゃない方」選手について

2017年08月24日 | テニス

 「ボクたちは、ダブルスの《じゃない方》選手です」

 テニスのダブルスは楽しい。

 ダブルスはシングルスとくらべて、テレビ放映はほとんどないし、トップ選手もあんまり出てない。

 なもんで、ふだんはマイナーなあつかいだけど、もっと取り上げられてもいいのでは、といつも思っている。

 そんなダブルスの最大の特徴といえば、コートに4人も人がいること。

 ふだんより2倍の選手のプレーを見ることができて、その意味ではオトク。

 なのだが、このテニスのダブルスペアにも、よく見るとコンビ芸人のような「格差」が存在するのだ。

 ダブルスの組み合わせパターンは大きく分けて3つ


 1.双方ともにシングルスでもメジャー選手で、みんなおなじみ。

 2.両方ともシングルスでマイナー、もしくはダブルスのスペシャリストで、シングルスにはあまり出ないから、ファン以外は知る人ぞ知る

 3.片方は知られているけど、もう一方は「だれ?」。



 シングルスのトップ選手、特に男子はダブルスに出ないケースも多いので、女子に多い。

 たとえば私の世代だと、アランチャサンチェスビカリオヤナノボトナのチームは、シングルスでもダブルスでも、グランドスラム優勝している。

 日本のエースだった杉山愛さんは、

 

 ジュリー・アラール=デキュジス

 キム・クライシュテルス

 ダニエラ・ハンチュコバ

 

 といった、人気実力ともにトップクラスの選手と組んで、ダブルスの世界1位に。

 また、女王マルチナヒンギスも、

 

 アンナ・クルニコワ

 ミリヤナ・ルチッチ=バローニ

 サニア・ミルザ

 

 などなど、のある選手と組んで大きな実績を残している。

 オリンピックでの、ロジャーフェデラーとのミックスダブルスが実現しなかったのを、残念に思ったファンは多いだろう。これは私も相当に見たかったものだ。

 男子だと、かつてダブルスのタイトルを総なめにした最強コンビ「ウッディーズ」の、トッドウッドブリッジと、マークウッドフォード

 ここが、双方シングルスでもトップ20位入りを果たしているけど、ツアーよりデビスカップで大物ペアが生まれることが多いかもしれない。

 バルセロナ五輪金メダルを取った、ドイツボリスベッカーミヒャエルシュティヒ

 2002年ロシア初優勝時の、エフゲニーカフェルニコフマラトサフィン

 オーストラリアの、レイトンヒューイットパトリックラフター

 クロアチアの、マリオアンチッチイワンリュビチッチ

 スイスの、ロジャーフェデラースタンワウリンカ

 並べるだけでも、ため息が出そうな豪華な顔ぶれ。

 調べてみたら、ジョンマッケンローと、ピートサンプラスなんてのあった。

 双方世界一位、グランドスラム優勝数がふたりで21個

 単純な数字だけなら、このペアが最強かもしれない。

 ここまでゴージャスじゃなくても、フランスジュリアンベネトーリシャールガスケ組。

 スペインの、フェリシアーノロペスフェルナンドベルダスコ組。

 ここくらいでも、十二分すぎるほど魅力的なチームといえる。

 のケースは、まあどちらかといえば、これが普通か。

 そもそもダブルス自体がマイナーなのだから、どうしてもそうなってしまうわけだが、これはもう、歴代のグランドスラム優勝選手を見てもらえば一目瞭然。

 グランドスラム歴代最多の16勝を誇る「史上最強のコンビ」マイクボブブライアン兄弟は、シングルスの戦績は皆無に等しい。

 他にも、マへシュブパシリアンダーパエス組。

 テニスファンならおなじみの、インドが誇るスーパーコンビだが(ちなみにもスーパー悪い)、一般の認知度は低いだろう。

 他にも、ヘンリコンティネンジョンピアースとか。

 ピエールユーグエルベールニコラマユ

 マルセルグラノリェルスマルクロペス

 ロハンボパンナダニエルネスター

 イワンドディグマルセロメロ

 あとエドゥアールロジェバセランとか、ミシェルロドラとか……。

 などなど、わりとコアなテニスファンでも「まあ、名前くらいは……」な選手がズラリ。

 すげえな、ネスターってまだ現役なんだ。

 昔はマークノールズと組んでたなあ。

 で、2015年ウィンブルドン優勝の、ジャンジュリアンロジェホリアテカウって、だれですか?

 もちろんその世界では最高レベルの猛者たちばかりだが、フェデラーやナダルのような知名度は望むべくもなく、これがなんとも惜しい。

 それでも今は動画サイトなどで試合を見られるようになったから、いい時代になったなとは思う。

 実際に見てみたら、スピーディーでおもしろいんだよ、ダブルスって。

 生観戦が、もっとオススメ。

 と、ここまでは前置き。

 上記の2パターンは、知名度に差はあれど、双方がほぼ同レベルの位置にいるのだから、そんなに観ていて不自然さというのは感じない。

 問題は、そのバランスが合ってないコンビである。

 片方がスターなのに、もう片方は全然知られてない

 もしくは、ダブルスはどっちもトップなのに、シングルスランキングにものすごいがある。もっといえば、稼ぎが全然違う。

 こういうコンビというのもいて、様々なビッグタイトルをものにしているにもかかわらず、ファンからも、



 「あの、こないだ優勝したコンビの知らん方」



 なんて言われて、なんとも悲しい目に合っているのではないか、とか想像するわけだ。

 次回は、そういう選手について語ってみたい。
  
 

 (続く→こちら




コメント (2)
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