セリエAのインテル……というか、サン・シーロ・スタジアム観戦記 その3

2017年08月11日 | スポーツ
 八面六臂のカルチョ・スタジアム見学記第3弾。

 「サン・シーロは一度見ておいた方がいい」

 前回(→こちら)そう建築のプロからアドバイスを受けて、セリエAはインテルの試合を見に、スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァをおとずれた私。

 サッカーよりもスタジアムメインで試合を見るってなんやねんと、われながら思わなくもないが、これが実際に来てみると、サン・シーロは本当にすばらしい施設でおどろかされた。

 とにかく感嘆なのは、圧倒的な試合の見やすさである。

 ゴール裏の真ん中あたりの席で見ていたのだが、そこから見下ろすと、長方形のフィールドが手に取るように目の前に展開される。

 ふつう、サッカーのゴール裏といえば自陣のところしか視野に入らず、反対の陣地にボールが行くと、遠くてなにをやっているかわからないものだが、このサン・シーロではまったくそんなことがない。

 いやホントに、あたかもグラウンド全体を将棋の盤でも見下ろすかのように、きれいに隅から隅まで俯瞰できるのだ。

 ちょうど、戦争映画などで司令官が地図を眺めながら作戦を立てるかのように。これには感動してしまった。フィールド全体が見えるから、他の競技場やテレビで見るような、

 「ボールのところにしか目がいかない」

 ということがない。

 真上に近いアングルから見えるから、たとえばドリブルしている選手の反対側からあがっていくディフェンスとか、キーパーのさりげない位置取りとかにも目が行く。

 11人全員が見えるから、パス回しのパターンだとか、ボールを持ってない選手の動きとか、選手の視線が今どこを向いているとか、そういったテレビではわからない細かいところが、手に取るようにわかるのだ。

 これには目から鱗が落ちた。

 すごい! サッカーって、こんなに場を広く使ってるスポーツなんや。

 素人はどうしても華々しいゴールシーンやキラーパスに目を奪われがちだけど、こうして見えないところで、どれだけの選手たちがシステマチックに動いているのか。

 ここに来て、私はかの建築青年が、

 「絶対に行くべきです」

 といった言葉の意味を理解したのである。

 たしかに、これは来た方がいい。ここで観戦したら、サッカーというスポーツの見方が根本的に変わる。なんというのか、競技がメチャクチャ「立体的」に見えるのだ。

 見るファンだけでなく、実際にプレーしている人も、絶対に経験してみた方がいい。

 今のように、テレビでも様々な視点から見られる時代でなかったため、フィールド上のスクエアな目線と違った、それこそ天の高見から見下ろす「神の視点」のようなものは、それはそれは新鮮だった。

 いや、これはホンマに感動しました。私はコロッセオやサン・マルコ寺院といった、イタリアの技術の粋を集めたはずの施設にはたいして心は動かされなかったが、このサン・シーロには心の底から、

 「イタリア人すげー」

 そう感服したのである。

 やるなあ、さすがはレオナルドを生んだ土地や。ただの色魔の国やなかったんやなあ。

 などと感心しまくりだったわけだが、なんと話はここで終わらず、もうひとつこのスタジアムは大きな「ワザ」を見せてくれたのだから、もう感心するしかないのである



 (続く→こちら
 



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