読まずに勝てる(?)将棋必勝法 その2 玉を固めてチャンスを待て!

2021年09月10日 | 将棋・雑談

 前回(→こちら)の続き。

 ダラダラ棋譜並べネット将棋だけで、定跡もおぼえず詰将棋も解かずに「あと1勝で三段」だった二段になれた私。

 その武器は

 「いい意味テキトーに指しての逆転勝ち」

 であり、前回はそのコツのひとつ、

 「効いてるかどうかはわからんが、とりあえずハッタリで敵陣イヤミをつけろ」

 というのを紹介したが、今回伝えたいのがこちら。


 
 ■逆転のコツ その2

 「とにかく、玉を固めとけ」。

 将棋というのは言うまでもなく、王様が詰まされると負けるゲームである。

 となれば、それを守るというのは一番大事な作業であり、特に不利な局面では、いかに1手でも2手でも延命できるか。

 そのテクニックが、試されるのである。

 まず基本的なのが「金銀を埋めまくる」。

 泥臭く、決してカッコいいとはいえないが、やはりここはなりふり構わず行きたい。

 カナ駒がなければ、でもでも、とにかく玉まわりのスキマをふさぐ。

 ここに発動された「決号作戦」により、陥落寸前の玉でも、投げずにペタペタ駒を張っていると、

 「これで、案外ねばっている」

 というケースも結構あったりするのだ。

 振り飛車なら、いいタイミングで▲59歩の「金底の歩」とか。

 矢倉銀冠で飛車を打ちこまれたとき「▲79香(▲39香)」とか、△86歩、▲同歩を利かされた矢倉なら「▲87銀」と埋めるとか、穴熊でも▲39歩底歩が固い。

 

 

 

1995年、第54期C級2組順位戦。先崎学六段と、藤原直哉五段の一戦。
後手が大苦戦ながら、歩を3枚バリケードにして、必死の防戦。
吹けば飛ぶようなバラックの城だが、藤原に痛い見落としが出て、先崎が執念の逆転勝ち。

 

 

 とにかく飛車でもでも埋めまくる。

 「もったいない」

 「そこで駒を使うと攻め味がなくなる」

 と言われるかもしれないが、とにかく「駒の壁」を形成しておけば、容易には負けない。

 勝ち味が少なくても、1手でも手数を伸ばせば

 「相手が大ポカをするチャンスが1ターン増える

 プロですら、大差の将棋でも「早く投げてくれないかな」と考えるというのだから、どんな形でも

 「早く終わらせない」

 ことは有力な戦術である。

 私なども、そこらにあるものをすべて投げつけて、駄々っ子のような粘着でねばりまくる様は、米長泥沼流ならぬ、

 「スターリングラード流

 と恐れられ(あきれられ?)たものだが、将棋で、特に同レベルの棋力がぶつかれば、最後に大事なのは結局「根性」であり、その意味で私のファイトスタイルは旧日本軍の正当な後継者であった。

 郷田真隆九段も、言ってたではないか。

 

 「将棋は情念のゲーム」 

 

 すごい大差でも、「本土決戦」の精神で戦えば、予想以上にまくれるものです。投げたらアカン。 

 ちなみに、テキトーと根性は相反するようで、意外と両立できます。これ本当。

 埋める駒がないときは、「玉の早逃げ」を考える。

 よく

 

 「さすがに、八手も得しないよね」

 

 といわれる早逃げだが、いいタイミングで発動させると思いのほか効果があるし、相手の意表をつける。

 なにより、いかにも玄人っぽい指しまわしなので、むこうが

 

 「コイツ、けっこうやるやんけ」

 

 という気分にさせられるかもしれない。

 オススメは「米長玉」で、ガッと攻めこまれたときに、サッと指をすべらすように▲98玉と寄ると、なにやら五条大橋で弁慶を翻弄した牛若丸のようでカッコいい。

 実際、「羽生世代」の棋士たちや「受ける青春」の異名を取った中村修九段が若手時代、終盤でこの「▲98玉」や「▲97玉」を発動させ、土壇場で体を入れ替えるという将棋をよく見たもの。

 

 

 

1993年、第34期王位戦第3局。
郷田真隆王位と、羽生善治四冠との一戦。
後手が指せそうな局面で、すっと寄った▲98玉の「米長玉」が、羽生らしい手渡し。
これで玉が遠くなったうえに、いつでも▲88金打で固めるねばりも効く。
実戦も、ここから羽生が逆転勝ち。

 

 あと「中段玉」というのもあるが、これはやや上級者向きである。

 玉の上部脱出は、相手をあせらせる有効な手段だが、いざ自玉が裸で中段に踊りだすと、指し手がむずかしい

 

 「中段玉寄せにくし」

 

 これは本当だが、実は玉のダンシングはやっているほうも、目がチカチカするのも事実。

 手がまったく見えないし、流れ弾にいつ当たるかわからないし、なにより「読まずに指す」スタイルには存外向かない。

 

 

2012年、第25期竜王戦7番勝負の第3局。渡辺明竜王と、丸山忠久九段の一戦。
入玉形の熱戦だが、丸山の時間に追われて打った、▲14角が敗着となった。
ここでは▲47角なら、先手が勝ちだったようだが、こういう形は攻め方も受け方もゴチャゴチャして、正解を選ぶのは至難。

 

 

 なので中段玉は敵陣にと金など成駒があって、かなり入玉できそうなときなら一目散に目指すべきだが、そうでないなら

 

 「中段玉行くぞ」

 

 という姿勢を見せて、プレッシャーをかけるくらいがいいと思う。

 とにかく、時間をかせいで相手に

 

 「一手でも、多く指させる」

 

 ことが秘訣で、

 

 「おー、もてあましてる、もてあましてる。金銀埋めまくって《コイツ、筋悪いなあ》ってイラ立ってますなあ。大悪手や大ポカ、お待ちしてます」

 

 必敗の局面にもかかわらず、スマホやパソコンの画面に、そんな余裕ぶっこき丸な態度を取れれば、すでに逆転への黄色いレンガの道は見えてきているのだ。

 

 (続く→こちら

 


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2 コメント

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Unknown (soborut)
2021-09-12 13:00:19
投稿お疲れ様です。
先日私も「固める+詰めろ」な香打ちで、頓死させてきました(笑)。お相手1分以上考えての大頓死だったので、悔しかったろうなア、と。
劣勢時でも終盤固めると、想像以上に厭なプレッシャー返しになりますよね。目指すは高見七段レベルの妖術使いです(`・ω・´)
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Unknown (シャロン)
2021-09-12 20:34:02
soborutさん、いつもありがとうございます。

>劣勢時でも終盤固めると、想像以上に厭なプレッシャー返しになりますよね


そうなんですよ。

将棋ってどんな優勢でも、相手があきらめずになんか指してくると、それだけでフルえちゃうんですよねえ。

だから負けてても「なんか指せば、なんとかなる」もんなんですが、いざ自分が劣勢だと、そんな元気も出ないという(苦笑)


>目指すは高見七段レベルの妖術使いです(`・ω・´)

たかみーはタイトル取って、キャラクターも好感度が高く、ファンサービスも手厚い人気棋士ですが、実は指す将棋が結構マニアックでわかりにくいというw そこに魅力を感じます。
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