お盆休みは、古いテニス動画を見ていた。
今年は7月こそ夜など比較的涼しかったが、8月になるとやはり猛暑の連発で(ホンマにオリンピックなんかやれるんやろか?)、こうなるとなにもする気が起きない。
なれば、連休も外に出るより家でじっとしてるのが吉であり、アイスティーを飲みながら、いにしえのテニスに漬かっていたのである。
というと、
「わかるなあ。昔に見た試合とか今見直すと、なつかしくて楽しいんだよね」
なんて声が聞こえてきそうだがそうではなく、私の場合もっと古いというか、自分が生まれる前にやっていた試合の動画などを楽しむのである。
木のラケットで、芝のコートとサーブ&ボレーが全盛で、バックハンドもほぼ片手打ちという時代。
今見ればスローモーであり、また優雅でもあるという、そんなころの試合。
たとえば、ロッド・レーバー対ケン・ローズウォール。1969フレンチ・オープン決勝とか(→こちら)
もうひとつは芝のコートで、ダンロップ・インターナショナルというシドニーの大会らしい。やはり、レーバーとローズウォール(→こちら)
シブいモノクロ映像で、スポーツや資料映像というよりも、なんだか古いヨーロッパ映画のような雰囲気で味がある。
ジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーの映画のようと言ったら、言い過ぎだろうか。
ふーん、昔のローラン・ギャロスって、こんなんやったんやあ。
客席の様子とかもさることながら、今とくらべるとフェンスや柱に広告の類がまったくないのが目を引く。
そういや、グランドスラムって長くアマチュアの大会だったんだよなあと思いだしたりして、ちょっと調べてみたらローラン・ギャロスのオープン化が1968年。
なるほど、プロに開放されてまだ1年。商業化も進んでなかったわけか。
女子の試合もいい。定番のマルチナ・ナブラチロワとクリス・エバート、1978年ウィンブルドン決勝(→こちら)。
ロジャー・フェデラーと、ラファエル・ナダルにノバク・ジョコビッチ。
ピート・サンプラスとアンドレ・アガシのように、ライバル同士はプレースタイルが対照的だと、よりおもしろいもの。
古いついでに、もうひとつ女子のビンテージプレーということで、スザンヌ・ランラン(→こちら)。
フレンチ・オープンの会場であるローラン・ギャロスにも「コート・スザンヌ・ランラン」としてその名を残す、すごい女性。
とにかく強く、プレーも物腰も洗練され、優雅だったという。
そのあたりのことは、ドイツ文学者である池内紀先生の「スザンヌの微笑」というエッセイ(知恵の森文庫『モーツァルトの息子』収録)にくわしいので、是非一読を。