非常事態宣言はあけてわかったことは、私の休日はコロナがあろうがなかろうが、たいして変わらないということであった。
■7月のある休日
朝11時起床。寝過ぎだが、寝ても寝ても眠い。今年は雨ばかりで調子が出ない。
水シャワーを浴びて、作り置きのアイランとアイスティーをちゃんぽんで飲む。半分寝ながらスマホをチェック。
見るのはニュースと天気予報。あと、タイムシフトでアベマやニコ生の将棋番組など。
当ページでは羽生善治九段や谷川浩司九段が、まだ若手だったころのようなヴィンテージマッチを紹介してるけど、もちろん今の将棋もチェックしている。
名人戦に叡王戦に王位戦と棋聖戦とか、アベマの早指し、さらに藤井聡太棋聖は順位戦をはじめ、他の棋戦も放送するから、追いかけるのが大変!
中継が増えてありがたいのは、タイトル戦なんかももちろんだけど、まだ売出し中の若手棋士を見られること。
今までだと、NHK杯の予選とか抜けてきてもらわないと、いけなかったけど、こうしてチェックする機会が増えてホクホク。
「藤井キラー」の大橋貴洸、新人王戦優勝の高野智史、スピード昇級の近藤誠也、三枚堂達也、石井健太郎、黒沢怜生、長谷部浩平、斎藤明日斗とかとか。
どんどん勝って、若手シーンを盛り上げていってほしいものだ。こないだの渡辺大夢は強かった。明日斗もやったね。みんな、期待してるよ!
朝食にコーヒー、バナナ、フランスパン。
BGMに筋肉少女帯『サボテンとバントライン』『サンフランシスコ』『サーチライト』など。オーケンは天才だなあ。朝に聴くもんでもないかもしれんが。
午前中はDVDを観る。今日はエルンスト・ルビッチ監督の『ニノチカ』。
「ガルボ、笑う」のキャッチコピー通り、グレタ・ガルボの美しさや「ルビッチ・タッチ」と呼ばれる洗練された演出やセリフ回しもさることながら、やはりこの作品に欠かせないのが、あの男たち。
そう、ブリヤノフ、アイラノフ、コパルスキーの爆笑トリオ。
この三バカ大将というかズッコケ三人組が、もう楽しくてキュートで萌え萌えなのである。
いやまあ、やってることは公金で高級ホテル泊まったり、そこでデリヘル呼んだり、コンスタンティノープルでは酔って絨毯を窓から投げて、
「なぜ空を飛ばない!」
と叫ぶとか、いにしえのロックンローラーか底抜けユーチューバーみたいなんだけど、そこが最高。
しかしこの三人、こんな重大任務を受けてるくらいだから、革命の英雄で(作中にそういうセリフもある)能力的にも超エリートなはずなんだよねえ。ジョージ・オーウェル『動物農場』こないだ読んだから、笑っていいのか震えるべきか。
なんとなく風呂をみがいて、昼食。
冷凍ゴハンをチンして、ゆでた豚肉に塩コショウして、ほうれん草、オクラ、生卵をのせて、グリグリかきまわしていただく。栄養たっぷり。
自炊がめんどうという男子は、
「スーパーで安売りしてる食材を買ってきて、火を通してから、めんつゆと一緒にゴハンか麺にぶっかける」
のが簡単でヘルシーで満腹するからオススメ。メニューをいちいち考えなくていいのも楽。
え? 味? 日本男児が、そんなこまかいことをゴチャゴチャ言ってはいかんな。
食事のBGM代わりに、BS11でやっている『ヨーロッパの車窓だけ』。
文字通り、ホンマになんの編集もなく、ワンカットで車窓だけを流す男らしすぎる番組。
最初見たときは空いた口がふさがらなかったけど、昔ユーレイルパスを片手にヨーロッパをまわった身としては、チェックせざるを得ない。
ただただ、何もないフランスの風景を見る。変な時間。この無聊感がたまらない。
午後からはコーヒーを飲みながら、ひたすら読書。
タニス・リー『闇の公子』。濃厚なファンタジーだが、メチャメチャおもしろい。
私は海外ファンタジーものが苦手で、『指輪物語』も『ドラゴンランス戦記』も『ゲド戦記』も、一応読んだけど、えらいことしんどかったうえに(『ゲド』は最近読み直したらおもしろかったけど)、内容もまったくおぼえてなかった。
ファンタジーものの「あるある」に、子供向けとかリアリティーがないとかいわれがちなせいで、作者がその壁を乗り越えるため細部とかストーリーテリングに力を入れまくり(トールキン先生の描くホビットの生態とか)。
そのせいでレベルは爆上がりしたけど、ハードルも爆上がって、かえってライトなファンは手に取りにくくなる……てのがあるんだけど、『闇の公子』もまさにそれ。読みごたえあるけど、敷居が高いなあ。
道理で「インスタント魔法」の『ハリー・ポッター』が売れるわけだ。オススメするのは断然タニスだけど、最初に読むのは絶対ポッターだよ。
夕食は袋麺のサッポロ一番みそ。テンションをあげようと、キャベツ、ニラ、ししとうに、七味を大量に投入。辛くてうまくて、頭バクバクで、しばし浮世の憂さを忘れる。
食後はパソコンを開く。お茶しながら、
サッカーワールドカップで活躍するハンガリー代表「マジックマジャール」のプレーなど。キーパーがベレー帽をかぶっているというのが良い。
寝る前に少し読書。池内恵先生の『イスラーム国の衝撃』。日本人にはわかりにくい、イスラーム世界の事件や問題点を解説してくれる一冊。
ちょっと速読にはむかない文章だけど(文体がまじめすぎるせい)、それゆえか中身の濃さと充実が感じられる。
さらに『現代アラブの社会思想 終末論とイスラーム主義』と『サイクス・ピコ協定 百年の呪縛』も読み直す。
前者は「イスラームのトンデモ本」を紹介しており、人の考えることは文化や民族を問わず、似たようなもんなんだなあと苦笑しながら眠りに落ちる。