京都に行って、ずいぶんとなつかしい気持ちになった。
ということでこのところ昔、京都に遊んだ写真を紹介しており、前回は古本市で見つけた、軍国主義時代の絵物語を紹介したが(→こちら)、せっかくなのでベタな観光写真も見てみたい。
円山公園はラジオ『サイキック青年団』のイベントがあったり、また阪急河原町駅から近いこともあって、よく寄ったもの。
量子お手玉を披露する大道芸人。
『サイキック青年団』とは、関西ローカルの深夜ラジオ番組。
北野誠さん、竹内義和さん、それに朝日放送のディレクターである板井昭浩さんが、芸能ゴシップを中心に、政治経済からプロレス。
他にも、映画、アイドル、オカルトなどなどサブカルチャー全般をあつかった、今でいうネット文化のはしりのような内容だったのだ。
この円山公園で思い出深いのが、竹内アニキが紹介していた都市伝説。
大阪の新世界名物である串焼きが、なぜ、うまいのかというものであった。
新世界とは、かつては昭和の空気を色濃く残す、雑多な下町。
地元の大阪人でも、合う合わないが分かれるという、戦後の闇市というか、マッドマックスというか、ここで育った作家である田中啓文さんをはじめ、
「朝、通学路によく、道端で死んでるオッチャンを見かけた」
というような、まあそういうところなのである。
京都のご当地アイドル「Shira-byo-shi」の握手会に並ぶファンの方。
特に、冬は寒さをしのげなかった人が、朝方に凍死していることがよくあり、そういった人を集めて「調理」していると。
「だから、新世界のお店は、みんなお肉がおいしいんですわ」
んなアホなという話だが、竹内アニキは真剣に、
「ホントなんですよ。実際、ボクの知り合いが見たんですけど、近所のホルモン屋のオヤジが、死体の両足を肩にかかげて、倉庫の中に入っていったんですよ」
いい大人が、まるで世界の真理でも語るかのごときおももちで、そんなことを言うゆかいなマヌケさが、アニキの味である。
そのときのゲストが、大槻ケンヂさんだったか大川総裁だったか忘れてしまったが、さすがに、
「なに言うてはるんや、この人は?」
そら、あきれもしますが、アニキはまったく気にすることもなく、
「ホントなんですよ。調べればわかりますけど、寒波が来た次の日の新世界の串焼きは、いつもよりおいしいんですよ!」
こういうのは、ファクトがどうとか、信憑性がどうとかよりも、
「おもしろい方を採択する」
というのが「正解」であるため、私は今サンテレビの朝に再放送している『じゃりン子チエ』を見ながら、
「そっかー、チエちゃんが毎日焼いてるホルモンは、あれ労務者とか乞食のオッチャンの肉なんやなあ。だから店も流行ってるんやあ」
なんて、モーニングコーヒーを楽しんでいるのだ。
(続く→こちら)