将棋 西山朋佳三段(女王)の剛腕 初の「女性棋士」誕生を大いに期待 その2

2019年04月17日 | 女流棋士
 「女王」のタイトルを持ち、奨励会でも戦う西山朋佳三段のファンである。
 
 前回は2014年のリコー杯女流王座戦で加藤桃子女王に見せた、ねばり強い順を紹介したが(→こちら)、 西山将棋は受けだけでなく攻めもパワフルである。
 
 それがこよなく発揮されたのが、2018年の第11期マイナビ女子オープン。

 加藤桃子女王に挑戦した西山三段は、第1局を落としたものの、続く第2局で、すばらしい将棋を披露する。

 話題になったのは、この局面。
 
 先手の加藤が、▲45桂と跳ねたところ。





 △同桂は飛車を取られるからダメとして、ちょっとうまい受けが見当たらない形。

 形は△44歩だけど、あいにくの歩切れ
 
 どうやるのか注目だったが、ここで西山が選んだのが並みいるプロも当てられなかった、すごい手だった。








 △45同桂が、ちょっと信じられない、目を疑う強手。

 さっき「ない」っていったとこなのに、飛車タダであげますと。
 
 ▲22角成には△37桂成と、プラズマ・ダイブして指せるというのが西山の主張だが、ホンマかいな。
 
 
 
 

 ところが、一見ムチャのようなこの攻めが、意外と振りほどくのは大変なよう。

 ▲29飛△47成桂、▲同金、△38角の飛車金両取りが決まる。
 
 ▲26飛と逃げるしかないが、△76銀と進撃し、加藤も「馬は自陣に」で▲66馬と引いて対抗するも、△65銀打の浴びせ倒しが手厚い攻め。

 ▲11馬と香を取りながら逃げるが、そこで△54金とくり出すのが、これぞ振り飛車という手。
 
 
 
 
 
 形勢はわからないが、駒の勢いは明らかに後手にある。

 このあたりの指しまわしは、△45同桂大内延介九段
 
 △54金と上がる形は、鈴木大介九段森安秀光九段のようであり、全体的に、

 「昭和の振り飛車党」

 といった雰囲気が感じられる。

 無頼派のようで実にシブい。思わずオリラジ藤森君のように、「トモちゃん、カッコイイ!」と決めたくなるではないか。

 ▲79桂の受けに、△55桂と上部を押さえて圧倒。以下、先手のねばりを振り切って勝利。
 
 ここから一気の3連勝で、初のタイトル獲得してしまうのだ。

 いかがであろうか、この西山将棋の力強さ。

 丸顔のかわいらしい、理知的な女性が、こんな往年の「怒涛流」のような将棋を展開するのだから、それはもう、惚れるなという方が無理な注文である。

 こないだのNHK杯の出場者決定戦は、里見香奈さんに敗れたものの、そこかしこに西山流の勝負術を見せつけた内容だった。

 解説の高見泰地叡王も、思わず「この2人と指してみたい」と、うなるほどの。

 あれだけの将棋を指せれば、これからもチャンスはあるだろうし、間違いなく人気も出るはず。

 それには、やはりなんとか三段リーグを突破してほしいもの。
 
 里見さんは残念だったけど、こういうのはひとり前例ができれば、案外パタパタと続く者が出るかもしれない。

 先駆者になるのは大変だろうし(里見さんですら体を壊してしまった)、加藤桃子初段もきびしかったが、関西の中七海初段もふくめて、みんながんばってほしいものだ。
 

 (広瀬章人の振り飛車穴熊編に続く→こちら
 
 (西山と里見香奈の熱戦は→こちら
 
 
 

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