Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

#25「錦おりける紅葉と枯山水」

2013-01-19 | Liner Notes
 水を感じさせるために水を抜き、敷き詰めた白砂に帚目をつけて石とともに現れる枯山水。

 確認したわけではありませんが、十五個の石はどこから眺めても必ず一個は他の石に隠れて見えないそうです。

 古来より十五は満月の十五夜の意味から「完全さ」を表し、十五に一つ足りない十四は「不完全さ」を表すのかもしれません。

 その不完全さは、人の営みや交わりが決して完全には成就しないことをも示唆する一方で、成長しうる余地や期待をも示唆しているような気がします。

「人すまず 荒れたる宿を 来て見れば 今ぞ木の葉は 錦おりける」(枇杷左大臣)

返し

「涙さへ 時雨にそひて ふるさとは 紅葉の色も こさまさりけり」(伊勢, 後撰和歌集 四五九)(#24)

初稿 2013/01/19
校正 2021/04/04
写真 龍安寺 石庭, 1450.
撮影 2007/12/02(京都・北山)