Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α49G「スーザン」 朝倉響子, ---?.

2023-11-24 | Exhibition Reviews
 写真は、ありとしあらゆる出来事や物事のなかから、〈わたし〉が選んだ視点を通して現れた構図だと思います。

 また、写真を撮るということは、無限の自由度を有する眼前の〈世界〉から、〈わたし〉がそう思う〈世界〉を存在させることのような気がします。

 そして、〈わたし〉が存在させたその〈世界〉は〈わたし〉の物語であり、その物語を観る〈あなた〉にとってはもうひとつの〈世界〉を存在させているような気もします。

 ところで、長い指と手の甲で顎を抱えるその姿は、"〈わたし〉はいったい誰なの"と不安を覗かせているような気がする一方で、身体の向きを変え結った髪を解いたその姿からは、飾らないありのままの〈わたし〉を知りたいと思っているような気もします。

 ひょっとしたら、この作品もまた、「あなたが〈あなた〉であるとは、どういうことなのか」と〈わたし〉に問いかけているのかもしれません。※

初稿 2023/11/24
写真 「スーザン」朝倉響子, --?.
撮影 2023/02/18(東京・北トピア)
注釈 ※)
α46G「ローリー」 朝倉響子, ---?.
α47G「フラワー」 朝倉響子, ---?.
α48G「リサ」 朝倉響子, ---?.

α48G「リサ」 朝倉響子, ---?.

2023-11-18 | Exhibition Reviews
 写真を観ることを通して"そこになにかが在る"ということは言葉によって意味づけられた出来事や物事が事実として存在しているような気がします。

 とはいえ、眼前に在る半身像のような作品は、それ以上もそれ以下でもない在りのままの姿という出来事や物事に過ぎないのかもしれませんが、撮ろうとする写真の意図や構図を通してなんらかの物語を存在させることができるような気もします。

 絡めた長い指を解いて肩の力を抜いたその姿は、"〈あなた〉は誰なの"と興味や関心を覗かせているような気がする一方で、結った髪を解いたその姿からは、そんな"〈わたし〉が〈あなた〉を知りたい"と思っているような気もします。

 ひょっとしたら、この作品もまた、「あなたが〈あなた〉であるとは、どういうことなのか」と〈わたし〉に問いかけているのかもしれません。※

初稿 2023/11/18
写真 「リサ」朝倉響子, --?.
撮影 2023/02/18(東京・文京シビックセンター)
注釈 ※)
α46G「ローリー」 朝倉響子, ---?.
α47G「フラワー」 朝倉響子, ---?.

α47G「フラワー」 朝倉響子, ---?.

2023-11-11 | Exhibition Reviews
 "そこになにかが在る"ということは、〈わたし〉が"そこになにかを存在させている"のかもしれません。

 その"なにか"とは、動物や品物といった名前があれば誰もが容易に分かりますが、物事や出来事といったものは解釈が分かれるように思います。

 肩肘を張ってはいるものの、絡めた長い指を顎に添えたその姿は、"〈わたし〉は〈あなた〉とは違うはずよ"と苛立ちを覗かせているような気がする一方で、目深に被った帽子を脱いだ姿からは、そんな〈わたし〉を〈あなた〉に知ってほしいと思っているような気もします。

 ひょっとしたら、この作品もまた、「あなたが〈あなた〉であるとは、どういうことなのか」と〈わたし〉に問いかけているのかもしれません。※

初稿 2023/11/11
写真「フラワー」 朝倉響子, ---?.
撮影 2023/01/25(東京・グランドヒル市ヶ谷)
注釈 ※)α46G「ローリー」 朝倉響子, ---?.

♪60「となりあう世界」

2023-11-05 | Season's Greeting
 陽の光に照らされて朝靄が立ち込む季節になり、高校生のころ熱気球がごくあたりまえに空を彩っていたことを思い出します。

 もっと広い世界を夢見て故郷を出てから約三十年、あたりまえだと思っていた社会のありようや働き方も大きく変わり、"〈わたし〉が大切にしたいことはなにか"と考えるようになった気がします。

 ところで、コロナ禍もあって約四年振りに海外チームが参加するアジア最大級のバルーンフェスタ、約百機を超える熱気球が秋空を彩るなかで偶然撮った光景とネットで掲載されていたクルーの言葉が印象に残りました。

「ウクライナのバルーンを見ることで、わたしたちに何が起こっているのかを覚えていてほしい」※

 遠い海のはるかかなたで起きていることに思いを馳せて、そのバルーンを見る幾重の人々を観ると〈世界〉は必ずしもただ一つではなく、ひょっとしたら、となりあっているのかもしれません。

初稿 2023/11/5
写真「Slava Ukraini !」
引用 ※)佐賀新聞, 2023/11/02.
撮影 2023/11/3(佐賀インターナショナルバルーンフェスタ)