Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

♪8「徒然なるままに」

2013-11-28 | Season's Greeting
 「徒然なるままに、日ぐらし、硯に向かひて、心に映りゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそ物狂ほしけれ」(徒然草) 

 あまりにも有名な文章の一つかもしれませんが、小林秀雄は、「無常という事」のなかでこう記しています。

「心が紛れるどころか、眼が冴えかえって、いよいよ物が見えすぎ、物がわかりすぎる辛さを、『あやしうこそ物狂ほしけれ』と言ったのである」(「徒然草」69頁, 小林秀雄, 1942.)

 言葉は、自分が思いついたことを記すのではなく、ありのままの自分があるがままに記すとき、言葉が私に何かを語らしめるのかもしれません。

初稿 2013/11/28
校正 2022/05/08
写真 空城山公園
撮影 2010/11/21(広島・府中)

∫13「水晶橋」 大阪・堂島川, 1929.

2013-11-23 | Architecture
 かつて堂島川の可動堰として生まれ、いまや歩行者専用橋として生まれ変わった水晶橋。

 とかく、橋の名前は土地の名であったり、人の名にあやかることが多いような気がします。

 その名の由来は橋に灯る照明の光が映す水のきらめきを水晶になぞらえたという説もありますが、日本を象徴する国石に指定されている水晶の石言葉は、完璧・神秘的だそうです。

 四連式の本体アーチそれぞれに九つの小さなアーチが寄り添う組み合わせは構造的な安定感と意匠的な軽快感を印象付けてくれます。

初稿 2013/11/23
校正 2021/02/16
写真 水晶橋, 1929.
撮影 2013/08/04(大阪・堂島川)

∫12「大江橋」 大阪・堂島川, 1935.

2013-11-21 | Architecture
 土佐堀川に架かる淀屋橋と堂島川に架かる大江橋は、大阪を南北に貫く御堂筋が中之島を繋ぐ姉妹橋です。

 その重厚な質感と端整な意匠は、大阪市役所や日本銀行大阪支店と一体的なデザインであることを印象付けます。

 パリのセーヌ川に架かるコンコルド橋とブルボン宮を参考にされたという説もありますが、機能的な都市計画に景観美の要素を織り込んだ先駆的な例として、コンクリート橋でありながらも国の重要文化財として登録されています。

初投 2013/11/21
校正 2021/02/17
写真 大江橋, 1935.
撮影 2013/08/04(大阪・堂島川)

∫11「淀屋橋」 大阪・土佐堀川, 1935.

2013-11-18 | Architecture
 かつて、大坂が天下の台所として呼ばれた江戸期。その繁栄の礎を築いた豪商・淀屋が土佐堀川に架けたのが起源だそうです。

 元来、淀屋は淀川の治水工事を担い、様々な取引市場を設けたうちのひとつが土佐堀川に面した蔵屋敷が百棟を超えたという米取引市場。井原西鶴の「日本永代蔵」にも記されるほどの活況を呈していたそうです。

 とはいえ、今はかつての面影は微塵も無いものの、御堂筋に架かる鉄筋コンクリート橋として架け替わっていますが、いまもなお、大阪の中心として活況を呈していることには変わりなく、歴史を改めて紐解いて歩いてみると興味深いものです。

初稿 2013/11/18
校正 2021/02/18
写真 市庁舎と淀屋橋
撮影 2013/08/04(大阪・土佐堀川)