印象に残るシーンは、「ネット上の仮想空間」と「ルーツを同じくする家族」、そして「夏空に拡がる入道雲」です。
約10億人のユーザが購買や娯楽に加え行政サービスも享けることができるネット上の仮想社会「OZ」。AI自動翻訳サービスによって世界中のユーザとアバターを介してリアルタイムでコミュニケーションができるARとVRで構築されたOZの世界観はスマホが普及し始めた2009年当時にしては斬新なデザインだと思います。
近代化やグローバル化の潮流はテクノロジーの進化によって価値観が統一化された世界に向かう一方、セキュリティ上のリスクや埋没しかねない個人の在り方も示唆しているような気がします。
ところで、日本の原風景を残す真夏の信州・上田を舞台に、戦国時代から続く氏族をルーツにもつ親族を中心として物語を描いているのは、社会が危機に瀕した有事においては多様な価値観をもつ人や少数派の集団が連帯することの大切さを示唆しているような気がします。
ひょっとしたら、細田守監督の作品によく描かれる「夏空に拡がる入道雲」は、思春期の発達過程であるばかりでなく、進化した社会の成熟過程の暗喩なのかもしれません。
初稿 2021/08/28
写真 夏空に拡がる入道雲
撮影 2020/06/07(兵庫・阪神競馬場)
約10億人のユーザが購買や娯楽に加え行政サービスも享けることができるネット上の仮想社会「OZ」。AI自動翻訳サービスによって世界中のユーザとアバターを介してリアルタイムでコミュニケーションができるARとVRで構築されたOZの世界観はスマホが普及し始めた2009年当時にしては斬新なデザインだと思います。
近代化やグローバル化の潮流はテクノロジーの進化によって価値観が統一化された世界に向かう一方、セキュリティ上のリスクや埋没しかねない個人の在り方も示唆しているような気がします。
ところで、日本の原風景を残す真夏の信州・上田を舞台に、戦国時代から続く氏族をルーツにもつ親族を中心として物語を描いているのは、社会が危機に瀕した有事においては多様な価値観をもつ人や少数派の集団が連帯することの大切さを示唆しているような気がします。
ひょっとしたら、細田守監督の作品によく描かれる「夏空に拡がる入道雲」は、思春期の発達過程であるばかりでなく、進化した社会の成熟過程の暗喩なのかもしれません。
初稿 2021/08/28
写真 夏空に拡がる入道雲
撮影 2020/06/07(兵庫・阪神競馬場)