Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

#94「いづれかの道のとある番地」

2024-05-19 | Liner Notes
 大学三年生の長男が就活セミナーに参加するために東京へ訪ねてきた折、その前日に行ってみたい処があるから一緒に行こうと誘われたのが、いわゆるシェア型書店でした。

 本棚の一画を出版社や個人らが棚主として借り受けて、新書や自費出版本だけでなく、自らの蔵書を古本として販売したり、はたまた自らの蔵書の一部を非売品として展示するなど、様々な棚主がそれぞれの思うところをその棚に存在させているかのようです。
 
 「X通りのY番地」

貸付ける本棚の区画毎にそんな意味のラベルが貼られ、碁盤の目のような街区を摸したその本棚そのものは、もうひとつの〈世界〉なのかもしれません。

 長男の後姿を眺めながら、自らが歩もうとする道が歩むべき道であるかは分からないにせよ、歩み始めると自ずから何処かに至るはずで、それが何処であろうとも其処こそが〈あなた〉の居場所としての〈世界〉であるような気がします。

初稿 2024/05/19
写真 PASSAGE by ALL REVIEWS
撮影 2024/05/18(東京・神田神保町)


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