城山三郎のお薦めの三冊のひとつ。「男子の本懐」の続編ともいえる作品であり同じ時代のもうひとつの物語です。
昭和の激動期において外相と首相を務めた広田弘毅の「絶対に戦争はさせない」との信念は、中国や旧ソビエトとの協調外交で平和を目指すものの、軍部の統帥権独立による執拗な妨害によって落日へと至る日本。
彼は極東裁判で唯一、軍人ではないにも関わらず、A級戦犯として十三段の階段を上りました。彼が復活させた軍部大臣現役武官制度は陸海相は現役軍人にのみ限るとするものであり、二二六事件の再発防止のために首謀者と考えられた予備役や退役軍人を檜舞台から遠ざける仕組みのはずでした。
その仕組みが結果として軍部にとって、時の内閣が邪魔になれば陸海相を辞任させることで倒閣させ、軍部の意に反した組閣であれば陸海相を推薦しないことで政党政治を形骸化させ、軍部の独走を招いたことを問われました。
後世においてその評価が分かれるところではあると思いますが、成すべきことを果たすという信念と結果については、自ら計らわぬその覚悟は今を生きる人にとっての行動哲学にも繋がるような気がします。
初稿 2013/03/13
校正 2021/03/22
写真 翼をもつ麒麟
撮影 2012/10/15(東京・日本橋)
昭和の激動期において外相と首相を務めた広田弘毅の「絶対に戦争はさせない」との信念は、中国や旧ソビエトとの協調外交で平和を目指すものの、軍部の統帥権独立による執拗な妨害によって落日へと至る日本。
彼は極東裁判で唯一、軍人ではないにも関わらず、A級戦犯として十三段の階段を上りました。彼が復活させた軍部大臣現役武官制度は陸海相は現役軍人にのみ限るとするものであり、二二六事件の再発防止のために首謀者と考えられた予備役や退役軍人を檜舞台から遠ざける仕組みのはずでした。
その仕組みが結果として軍部にとって、時の内閣が邪魔になれば陸海相を辞任させることで倒閣させ、軍部の意に反した組閣であれば陸海相を推薦しないことで政党政治を形骸化させ、軍部の独走を招いたことを問われました。
後世においてその評価が分かれるところではあると思いますが、成すべきことを果たすという信念と結果については、自ら計らわぬその覚悟は今を生きる人にとっての行動哲学にも繋がるような気がします。
初稿 2013/03/13
校正 2021/03/22
写真 翼をもつ麒麟
撮影 2012/10/15(東京・日本橋)