Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§63「働きざかりの心理学」 河合隼雄, 1981.

2017-01-28 | Book Reviews
 自らが考えて判断した結果はいづれにせよ「0:1」ですが、自らが考えて判断するプロセスは「51:49」なのかもしれません。

 とかく結果にのみ着目すると、「上手くいったか?」、「上手くいかなかったか?」の二択に他ならず、いわば方程式における解を暗記するように、考えることを忘れてしまいがち。

 一方で、「どうするのか?」というプロセスに着目すると、選択肢そのものを自らが自由に設定せざるを得ず、いわば多様な条件と関係性を踏まえた最適解を導き出す方程式そのものをつくることのような気がします。

 自由な発想とは、たんなる思いつきやひらめきというよりは、自らの知識や経験といったある種の条件に基づいて、人や物の関係性を連想することなのかもしれません。

 砂場で楽しそうに遊ぶ子供の眼には、現実以上のリアルな都市建設の設計図だったり、現実以上のリアルなケーキのレシピだったり、大人が忘れかけていた自由な発想そのものがその瞳に映っているのかもしれません。

初稿 2017/01/28
校正 2020/11/25
写真 自由な発想の源泉とは
「休息する女流彫刻家」
 アントワーヌ・ブールデル 作
撮影 2016/05/23(大阪・御堂筋彫刻ストリート)