Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

β7「天気の子」新海誠, 2019.

2021-01-08 | Movie Reviews
 2021年新春、一昨年大ヒットした映画の地上波初放送。一人一人がスマホやタブレットを持っていますが、家族と一緒にあらためてテレビで観ると思わぬ発見と巡り逢えます。
 
 「ただの空模様に、こんなにも気持ちが動かされてしまうんだ。人の心は空につながっているんだと、僕は初めて知った」

 ごく当たり前に存在していたものが目の前から忽然と姿を消すときの喪失感と不安感。

 「あの夏の日。あの空の上で、僕たちは世界のかたちを変えてしまったんだ」

 本当に世界を変えたかどうかは別として、それはごく当たり前に過ごしていた日常に戻れないことを示唆し、その日常において振る舞っていた自我を見失うことに。

 「天と地の間で振り落とされぬようしがみつき、ただ仮住まいさせていただいているのが人間」

 でも、あるがままの自分に気づき、素直に受け入れるとき、ようやく人は自己を見出すのかもしれません。

 降り続く豪雨に傘を差す人々の姿を描いた光景は、決して予想した訳ではないにせよ、コロナ禍でマスクを着ける現在と重なっているような気がします。

初稿 2021/01/08
校正 2022/01/31
写真 のぞき坂(映画のなかのワンシーン)
撮影 2020/07/19(東京・雑司が谷)