Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§161「メタフィジカル・パンチ」 池田晶子, 1996.

2022-10-01 | Book Reviews
 フィジカルという言葉は「物理的」という意味ですが、眼の前にある事象、即ちあたり前と思っている出来事や物事のかたちやありようを示唆するのかもしれません。

「それがそこになければ、それについて言うことができない」(※1, p39)

 一方、メタという言葉はギリシャ語で「超えた」という意味らしいですが、転じて視点を変えることを示唆しているのかもしれません。

 本書「メタフィジカル・パンチ」は、その道の専門家や著名人と称される人々の考え方について、なぜそうなのか?と考えることの大切さを示唆しているような気がします。

「この人が見ているその先にあるもの、を、私もまたこの人の目を通して見る」(※2, p.12)

 ところで、魔法使いであることを知らされた少年が魔法の学校に入学して、魔法の世界で様々な人達との出会いを通じた成長を描いた「ハリー・ポッター」という物語に惹かれてしまう人も多いと思います。

 ひょっとしたら、現実には在りえないとは認識していても、観る者がその自らの意識のなかにその物語を"存在させながら"、自らもまたその物語に"存在している"のかもしれません。

「〜『ひょっとしたら』、この種のことばが発語されるとき、そこには、『存在』が、顔さえ見せずにその顔を覗かせているのだ」(※3, p.220)

初稿 2022/10/01
出典
※1)「事象そのものへ!」 池田晶子, 1991.
※2)「メタフィジカル・パンチ」 池田晶子, 1996.
※3)「オン! 」 池田晶子, 1995.
写真「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター(ホグワーツ魔法魔術学校)」
撮影 2022/08/21(大阪・ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)