Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

#3「水面に映える緑と空」

2012-10-21 | Liner Notes
 姿を映しだす鏡は常に対称な姿を見せてくれます。

 ところで、水面も姿を映し出しますが、そこには風や波による揺らぎが存在します。

 光がその揺らぎを通して私たちの視覚にもたらすのは、ちょっとだけ異なる姿を垣間見せてくれるときがあります。

 視る人によって無限の自由度を持つ解釈の余地が生まれることで、「あっ」っという発見に気づきますよ。

初稿 2012/10/21
校正 2021/04/27
写真 クリスタルタワ一,1990.
撮影 2012/08/20(大阪・OBP)

#2「水面に躍る鯉」

2012-10-10 | Liner Notes
 水面を撮らえることは結構興味があります。流体力学を専攻していた大学生の頃、研究室に暗室があって教授や先輩が渦をカメラで撮って可視化していたのをよく覚えています。

 水の流れという自然現象の中で普遍的な法則性を見出だそうというアプローチ。よくは覚えていませんが、航空機の翼や自動車の形状デザイン等に応用できるものだったと思います。

 でも、ここ5、6年は水面を撮らえる時、そういう法則性よりも決して再生することのない一瞬になにかしら価値を覚えます。

 不規則な波が彩る光のきらめきと波間に躍る鯉、そして水を透過して反射する石苔、「あっ、いいな!」という一瞬を記憶に留めたいと思います。

初稿 2012/10/10
校正 2021/04/28
写真 水面に躍る鯉
撮影 2010/08/20(岡山・後楽園)

#1「黄金の島」

2012-10-01 | Liner Notes
 光が織り成す、空の蒼さ・島影・海の碧さ・砂浜の煌めきを撮影してみました。

 視点と対象の距離感を精緻に図った遠近感のある空間描写というよりは、空・島・海・砂浜を単純で重層的なフレームとして切り出してみました。

 モチーフになったのは、19世紀末~20世紀初頭にかけて活動した新印象派画家アンリ・エドモン・クロスの作品「黄金の島」(オルセー美術館 所蔵)

 太陽があまねく照らし出す光の反射と輝度を点描によって強調することで、視る人の視点に応じて多様な印象を与えてくれるような気がします。

初校 2012/10/01
校正 2021/04/29
写真 黄金の島を望む
注釈「黄金の島」アンリ・エドモン・クロス, 1892.
撮影 2008/07/28(広島・倉橋島)