Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

∫23「廣田神社」 兵庫・西宮, ---?.

2014-05-23 | Architecture
 阪神タイガースが毎年キャンプイン前に優勝祈願することで知られる社は、神功皇后が三韓征伐に出発する際、先鋒として船を導いたとされる天照大神の荒御魂(あらみたま)を祀るそうです。

 古くから、六甲山の東南部は都からみて西の向こう側という意味で「むこ」と呼ばれ、かの六甲山もかつては「むこやま」と呼ばれたそうです。

 また、畿内と瀬戸内、遥か朝鮮半島への航路における要衝として務古水門(むこのみなと)が置かれ、そこに鎮座する廣田神社やえびす社等を総称して西宮と呼ばれるそうです。

 神功皇后の実在性や三韓征伐の歴史的解釈はさておき、畿内からみた辺境の地に航海術に長けた海人族(あまぞく)に、先導された勢力の根拠地だったのかもしれません。

初稿 2014/05/23
校正 2021/01/30
写真 廣田神社
撮影 2014/05/06(兵庫・西宮)

∫22「西宮神社」 兵庫, ---?.

2014-05-20 | Architecture
 福の神・エビスを奉る総本社 西宮神社。

 エビスとは漁業の神としてのクジラ、古くは勇魚(イサナ)とも呼ばれ、浜辺に打ち上げられることもあったと伝えられています。
 
 訳あって海に流されたと伝えられるイザナギとイザナミの最初の子・ヒルコの不遇を偲び、思いもかけずもたらされる幸の信仰として結びついたのかもしれません。
 
 恵まれない宿命を背負った我が子にせめてもの幸せを願う親心が垣間見えるような気がします。

初稿 2014/5/20
校正 2021/01/31
写真 西宮神社
撮影 2014/04/09(兵庫・西宮)

∫21「伊弉諾神宮」 兵庫・淡路, ---?.

2014-05-20 | Architecture
 伊弉諾(イザナギ)と伊弉冉(イザナミ)は、凪や風をいざなう云われより古来の海人族(あまぞく)の信仰が起源という説もあるそうです。

 海人族の根拠地とされる淡路島が国産みの最初の意図は畿内からの瀬戸内航路の要衝であり、類い稀なる航海術を持つ海人族が大和朝廷にとって重要な存在であり、何らかの大きな貢献があったのかもしれません。

 黄泉の国にて、イザナミとの永遠の別離のあとに、イザナギから生まれたアマテラス、ツキヨミ、スサノオは大和朝廷の成立過程を暗示しているような気がします。

初稿 2014/05/20
校正 2021/02/03
写真 伊弉諾神宮
撮影 2014/05/19(兵庫・淡路)

§25「善の研究」 西田幾多郎, 1911.

2014-05-13 | Book Reviews
 「苔むした庭に射す木漏れ日」それは光によって網膜に投影された像と「苔」、「庭」、「木漏れ日」といった言葉と意味が織り成す現(実存)在。

 それらを瞬時に照合し、自らが「苔」、「庭」、「木漏れ日」を見ていなくとも間接的に経験できること。もしくは、第三者にイメージとして間接的に経験させること。そういった間接経験を知識として体系化し操る能力が自我なのかもしれません。

 とかく、自我は順序性や論理性や客観性といった因果律に基づいて、すべての事象を客観的に理解し判断し行動しようとするような気がします。

 一方で、光が網膜に投影された瞬間の感覚や知覚そのものは、自我が介在しない純粋経験として無意識の中に蓄積されるそうです。「その場の空気からみて、そうせざるを得なかった」と思わず口から出てしまう言葉の裏には、純粋経験としての無意識がそうさせているのかもしれません。

初稿 2014/05/13
校正 2021/02/01
写真 苔むした庭に射す木漏れ日
撮影 2014/02/02(奈良・唐招提寺)