今回ご紹介するのは「非正規レジスタンス」(著:石田衣良)です。
-----内容-----
派遣会社からの日雇い仕事で食いつなぐフリーターのサトシ。
悪徳人材派遣会社に立ち向かう決意をした彼らユニオンメンバーが次々襲撃される。
「今のぼくの生活は、ぼくの責任」と言い切る彼をマコトもGボーイズも放っておけず、格差社会に巣食う悪と闘うことに。
時代から捨てられた者たちを救うマコトたちの闘いを描いた表題作他3編収録。
大好評IWGPシリーズ第8弾!
-----感想-----
先日池袋ウエストゲートパークシリーズの第8弾が文庫化されたので、さっそく読んでみました
今作は以下の四編で構成されています。
・千川フォールアウト・マザー(パチスロで稼ぐ崖っぷちのシングルマザーの話)
・池袋クリンナップス(西口公園のゴミを拾い続けるエリート青年の話)
・定年ブルドッグ(脅迫魔に立ち向かう腕自慢の元警官の話)
・非正規レジスタンス(人材派遣会社の悪徳を暴く若者たち同盟の話)
このうち、表題作の「非正規レジスタンス」がかなり社会風刺した内容になっていて印象に残ったので、それについて書きたいと思います。
派遣会社からの日雇い仕事で食いつなぐフリーターのサトシは、いわゆるネットカフェ難民です。
ある日、サトシがマコトの果物屋の前を90分おきに何度も通りがかり、気になったマコトが声をかけたところから物語が始まります。
サトシはネットカフェの「ナイトパック」が始まる夜10時までの間、時間つぶしのために駅の周辺をぐるりと歩き回っていたのでした。
サトシは「ベターデイズ」という日雇い派遣会社で働いていますが、この会社には胡散臭い話が色々とあります。
給料から4割も天引きされたり、それとは別にインフォメーション費という使途不明のお金を毎回200円ずつ天引きされたりしています。
さらには派遣法で禁止されている場所への違法派遣も行われています。
違法派遣で思い浮かぶのは、何年か前にグッドウィルという企業グループが起こした事件。
社会的な影響も大きく、印象に残った事件です。
おそらく「非正規レジスタンス」はこの事件をモデルにしているのではないかと思いました。
で、このうち「インフォメーション費」がこの話の中心となります。
たった200円でも、10万人派遣すれば2000万円にのぼります。
この使途不明のお金は、一体何に使われているのか。。。
サトシは「東京フリーターズユニオン」という団体に入っていて、この使途不明金の返還を求めて、集団で訴訟を起こしています。
しかし、池袋ではこの団体のメンバーが次々襲撃される事件が起きているのです。
そしてサトシ自身にも魔の手が…
背景にはベターデイズが絡んでいると見たこの団体の代表がマコトに事件解決の依頼をし、ベターデイズとの闘いが始まります。
今回はマコトがベターデイズに登録して派遣社員となり、潜入捜査するような感じになりました。
そして派遣先の現場で仲間が崩れた積荷の下敷きになり、足を負傷する事件が起きます。
本来なら労災になるはずなのですが、ベターデイズも派遣先の会社も、労災は色々と厄介ということで全てを当事者のせいにしようとします。
救急者は呼ばないから、タクシーで勝手に病院に行ってくれというのです。
負傷した当事者をほったらかしにして話し合いをしている様子が妙にリアルで、腹立たしかったです。
おそらくこれもグッドウィルの事件をモデルにしているのだろうなと思います。
そしてネットで調べてみたら、インフォメーション費の200円もグッドウィルをモデルにしていることが分かりました。
そういえば「データ装備費」という謎の名目で200円ずつ徴収されるのをニュースで見た気がします。
これは完全に風刺していますね^^;
作者の石田衣良さんもあの事件に憤りを感じていたのかも知れないなと思いました。
作家さんはこうして風刺した話を本として世に送り出すことが出来るので、やはりペンの力は強いなと思います。
ベターデイズのような悪徳な会社は少しでも是正していってほしいと願います。
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-----内容-----
派遣会社からの日雇い仕事で食いつなぐフリーターのサトシ。
悪徳人材派遣会社に立ち向かう決意をした彼らユニオンメンバーが次々襲撃される。
「今のぼくの生活は、ぼくの責任」と言い切る彼をマコトもGボーイズも放っておけず、格差社会に巣食う悪と闘うことに。
時代から捨てられた者たちを救うマコトたちの闘いを描いた表題作他3編収録。
大好評IWGPシリーズ第8弾!
-----感想-----
先日池袋ウエストゲートパークシリーズの第8弾が文庫化されたので、さっそく読んでみました
今作は以下の四編で構成されています。
・千川フォールアウト・マザー(パチスロで稼ぐ崖っぷちのシングルマザーの話)
・池袋クリンナップス(西口公園のゴミを拾い続けるエリート青年の話)
・定年ブルドッグ(脅迫魔に立ち向かう腕自慢の元警官の話)
・非正規レジスタンス(人材派遣会社の悪徳を暴く若者たち同盟の話)
このうち、表題作の「非正規レジスタンス」がかなり社会風刺した内容になっていて印象に残ったので、それについて書きたいと思います。
派遣会社からの日雇い仕事で食いつなぐフリーターのサトシは、いわゆるネットカフェ難民です。
ある日、サトシがマコトの果物屋の前を90分おきに何度も通りがかり、気になったマコトが声をかけたところから物語が始まります。
サトシはネットカフェの「ナイトパック」が始まる夜10時までの間、時間つぶしのために駅の周辺をぐるりと歩き回っていたのでした。
サトシは「ベターデイズ」という日雇い派遣会社で働いていますが、この会社には胡散臭い話が色々とあります。
給料から4割も天引きされたり、それとは別にインフォメーション費という使途不明のお金を毎回200円ずつ天引きされたりしています。
さらには派遣法で禁止されている場所への違法派遣も行われています。
違法派遣で思い浮かぶのは、何年か前にグッドウィルという企業グループが起こした事件。
社会的な影響も大きく、印象に残った事件です。
おそらく「非正規レジスタンス」はこの事件をモデルにしているのではないかと思いました。
で、このうち「インフォメーション費」がこの話の中心となります。
たった200円でも、10万人派遣すれば2000万円にのぼります。
この使途不明のお金は、一体何に使われているのか。。。
サトシは「東京フリーターズユニオン」という団体に入っていて、この使途不明金の返還を求めて、集団で訴訟を起こしています。
しかし、池袋ではこの団体のメンバーが次々襲撃される事件が起きているのです。
そしてサトシ自身にも魔の手が…
背景にはベターデイズが絡んでいると見たこの団体の代表がマコトに事件解決の依頼をし、ベターデイズとの闘いが始まります。
今回はマコトがベターデイズに登録して派遣社員となり、潜入捜査するような感じになりました。
そして派遣先の現場で仲間が崩れた積荷の下敷きになり、足を負傷する事件が起きます。
本来なら労災になるはずなのですが、ベターデイズも派遣先の会社も、労災は色々と厄介ということで全てを当事者のせいにしようとします。
救急者は呼ばないから、タクシーで勝手に病院に行ってくれというのです。
負傷した当事者をほったらかしにして話し合いをしている様子が妙にリアルで、腹立たしかったです。
おそらくこれもグッドウィルの事件をモデルにしているのだろうなと思います。
そしてネットで調べてみたら、インフォメーション費の200円もグッドウィルをモデルにしていることが分かりました。
そういえば「データ装備費」という謎の名目で200円ずつ徴収されるのをニュースで見た気がします。
これは完全に風刺していますね^^;
作者の石田衣良さんもあの事件に憤りを感じていたのかも知れないなと思いました。
作家さんはこうして風刺した話を本として世に送り出すことが出来るので、やはりペンの力は強いなと思います。
ベターデイズのような悪徳な会社は少しでも是正していってほしいと願います。
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