ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

旅の矛盾

2010-04-08 02:31:32 | 2010春紀伊半島ツーリング~旅日記
随分と遅くに寝て、随分と疲れていたはずだけど、8時に起きれた。昨夜の寒さが嘘のようだ。日陰に設置されたテントの中が、随分と暖められている。日向に設置していたら、もっと早く起きれたな。
煙草を吸いながら、朝の散歩をしてみる。目の前に海が広がってる。伊勢湾だ。

かもめの群れが貝を突いてる。引き潮の波打ち際にたくさんの貝が打ち上げられてる。かもめの攻撃を逃れた貝を探してみる。大きなはまぐりだか大あさりだかを見つけた。拾って、朝ご飯にしようかと思ったが・・・貝はあたる。旅の序盤で貝の毒にやられて肝臓をやられてしまったんじゃ・・・悲し過ぎる。やめておいた。
北海道で自分で捌いて食べたホッキ貝を懐かしく思った。あれは美味し過ぎた。

綺麗な海だ。もう出発しなければいけないなんんて・・・少し残念に思う。僕の旅はのんびりだ。でも、僕の旅は、いつだって忙し過ぎる。まるで、現代人の生活みたいだ。自由な振りをした、忙しい現代人だ。
色んなものを観たいから、色んな場所に行きたいから、自由過ぎるほどに、その瞬間を満喫したいから・・・必然的に・・・僕の旅は、いつだって大忙しなんだ。ははは・・・バカみたいだ。

バカみたいに綺麗な海だ・・・伊勢湾。

昨日の疲れなんて気にすることはない。さぁ、走ろう。

月が雪をみている

2010-04-08 00:40:42 | 2010春紀伊半島ツーリング~旅日記
目的地が決まらない。海まで下りて来てしまった。プランを練り直さなければ。練るってほどのプラン・・・そんなものは出来っこないんだけど。

とりあえず、京都から回るのはあきらめた。そうなると・・・三重から時計回りに紀伊半島一周ってことになるか・・・、・・・うん、そうしよう。それがいい。京都が最後だ。

出発から13時間経って・・・まだ静岡にいる。なんなんだ。なんなんだ。三重は遠いよ。

散々悩んだが高速に乗ることにした。今度は東名高速だ。割引は効かないが、背に腹は変えられない。なんとか・・・今日中に「津」まで行きたい。・・・午前中には京都のはずだったのに・・・ははは。今日中に津に変わった。

雪に降られ、雨に打たれ、ここまで走って来た。

東名高速に乗ると・・・今度は風だった。風と言っても、ただの風じゃない。恐怖の暴風だ。荷物満載のバイクに横からの突風は恐い。恐いなんてもんじゃない。何度も吹っ飛ぶかと思った。いきなり襲って来る突風に備えて、グリップを全力で握って走る。これは疲れる。突風に負けないように踏ん張る。かなり長い時間持続して踏ん張る。これは疲れる。

東名から名神、そこから伊勢紀勢自動車道に入る。もう辺りは暗闇。海沿い、伊勢湾沿いに道は続く。ここがやばかった。恐怖はマックスに達しようとしていた。
ガードレールが恐ろしく低い長い橋を何度も渡る。そこを横からの突風に襲われる。一歩間違えば海に転落だ。何度左側の白線を踏んだことか・・・。バイク人生最大の恐怖。

あまりに恐くて危ないんで、目的地まで60キロ地点「みえ川越」で高速を降りることにした。下道の方が風は弱いはずだという予測のもと。実際、下道は快適だった。交通量が少ない。信号はあるものの、高速と同じくらいの速度で走れる。

国道23号。四日市の工業地帯を抜ける。・・・ここには住みたくないな・・・煙突から煙がモクモクだ。でも・・・夜の工場の灯りは美しい。まるで立体的な飛行場みたいだ。

やっとのことで津に入り、目的のキャンプ場に着いたのは夜11時を回る頃。・・・走り始めてから、およそ23時間。ありえない、ありえない。日本の端から端まで走れそうな所要時間じゃないか・・・。何やってんだ。
とにかく寒かった。11月の京都ツーリングより軽装で来たのに、気温は低い。指先の感覚が無くなった。手の指10本、全部シモヤケになってしまった。指紋が無くなった。火が出そうなくらい指先が熱い、痛い。実際やばかったな。凍傷になったらどうしようと思いながら、感覚の無い指で全力グリップしながら走り続けたもんな。

街外れ、誰もいない松林の中のキャンプ場にテントを張って荷物を入れて、温泉に行く事にした。冷えきったカラダを・・・温めなければ。寝袋も・・・前回より、一枚少ない。だって春だから。
キャンプ場から温泉にいく途中で、また雪が降り始めた。雪に始まり雪に終わる一日か・・・。

月が出ているのに、雪が降る。素敵な夜だ。ホントに素敵な夜なんだな。・・・だって、なんだかんだで、自分が決めた目的地に着くことが出来たんだからさ。

三保の松原

2010-04-07 22:42:44 | 2010春紀伊半島ツーリング~旅日記
途中、のりぴーが逃走中身を隠していたとされる、身延を通る。身延山の桜、ここはすごく有名らしい。ちょっと寄ってみようとチャレンジしたが、混雑防止のためマイカー規制的なもの?シャトルバスに乗らなければならない。そのシャトルバスが往復600円もする。時間も無いことだし、やめておいた。新宿から直行の観光バスなんかも来てたから、ホントに有名なんだな。いつか来てみたい。


国道52号をひたすら南下し海を目指す。海が見えた時には思わず叫んでしまう。「海だぁ!」。埼玉で育ったせいだろうか、海を見ると必ず叫んでしまう。「海だぁ!」。バイクに乗りながら、ガッツポーズを決めてしまう。海の無い場所で育ったせいだな・・・きっと。興奮するんだよ。波の音にも、潮の香りにも。

静岡県清水市、清水エスパルス・・・サッカーの街。港町。


国道1号へ。せっかくなんで清水港を目指して、脇道に逸れてみる。途中、アウトドアショップを見つけ、今回初めて使うガスランタンのマントルをゲット。これで明るいテント生活が約束される(実際は、あまり明るくなかった)。

走っていると「三保の松原」の看板。ほんの少しの遠回り。日本三大松原。日本新三景。松島みたいな場所だな。

実際来てみると、ここの松はすごい。太い。くねくね曲がってる。直角に曲がってる。なんなんだここは?と思う場所だ。浜も綺麗だ。

樹齢650年の羽衣の松。これは圧巻だ。この木の命は、もう長くはないのかもしれない。650年もの間、潮風と戦い続けて来たのだからね・・・。この松には、もうほとんど葉が付いていなかった。

松原の隅の方に、エレーヌ・ジュグラリスの碑が立っていた。その前に植えられた小さな松。この松は「羽衣の松」を継ぎ木したもの。羽衣の松の命が絶える頃、この小さな松が少しだけ立派になって、次の世代に、羽衣の松のDNAを遺していくのだろう。

 フランスのダンサー、エレーヌ・ジュグラリスは日本の「能」を研究する中で「羽衣伝説」を知り、これを題材にした作品「羽衣」を発表、彼女は来日して伝説の舞台となった三保の松原を訪れることも希望していたが、病気により叶うことなく35歳の若さで亡くなってしまう。臨終の際には夫に「せめて髪と衣装だけは三保の松原に」と遺言を残し、それに基づいて夫は彼女の衣装と遺髪を持って来日した。(wikipediaより引用)

駐車場のお土産や。店のおじさんが色んなものを焼いている。前に立っていると、色んなものを食べさせてくれる。さんま、太刀魚、小女子・・・。立ち続けていれば、永遠に食べさせてくれそうだ。結構、長く立っていて、全種類食べた。ははは。そう、意地汚いの。お昼ゴハンなの。

ここでしか売っていないという黄金柑なるもの。小さいが、すごく甘い。めちゃくちゃいっぱい入ってる。旅のビタミンC補給のために、小さいサイズ400円を買った。これは美味しい。ビックリするくらい美味しい。なぜか・・・今年はミカンが大好きだ。

羽衣伝説。各地に残されていて、色んな話があるみたいだが、ここの羽衣伝説を少し。

ある漁師の男が浜を歩いていると、松にかかった羽衣を見つける。おぉぉ、この布は素晴らしい、家宝にしよう!と、手に取り持ち帰ろうとする。そこに現れた天女。それは私の羽衣です、返してくださいと言う。男は、オレの前で舞を見せてくれたら返そうじゃないかと言う。天女は漁師の男に見事な舞を見せ、羽衣を返してもらったとのこと。
その羽衣がかかっていた松が、樹齢650年の羽衣の松。羽衣の切れ端は、近くの神社に保管されているらしい。

お土産屋に書かれている絵付きの羽衣伝説。どうみても天女は裸なのである。知らない土地に来て、裸でウロウロしちゃうなんて・・・どうかしてるぜ。ラテン系なのか?そして漁師の男、裸で現れた見知らぬ女に、ちょっと踊ってみせな、だなんて・・・絶対に、どうかしてるぜ。

とにかく、三保の松原・・・素敵なところだ。

桜名所百選~山梨県鰍沢町

2010-04-07 21:44:56 | 2010春紀伊半島ツーリング~旅日記
国道52号に入り、南アルプス市を通過する頃には雪が止んだ。太陽が出て、気温も少し上がって来た。

武田信玄が作った治水のための史跡はこちら、みたいな看板が出てきたので、行ってみる事にした。8キロって書いてあったのに、いくら走っても何も無い。何も無いどころか、標識もない。山に近づいていくと、猛吹雪みたいなのが襲ってくる。なんだこの土地。なんだこの天気。行くのやめた。国道に戻ると雪は降っていない。ははは。山はダメだ。
その道すがら、多分「桃」だと思う。白い花の咲く木がたくさんあった。

休憩がてら合羽を脱ぎたい。どうせ休憩するなら桜が綺麗な場所がいい。探しながら走る。あった。枝垂れ桜の咲く河原。鰍沢町。朝7時。
合羽を脱いで、上着を脱ぐ。あぁぁ雪地帯を無事に脱出した・・・と、ホッとする。桜の写真を撮っている時に、近所のおばちゃんに挨拶をした。「若いっていいわねぇ・・・」と言われた。「そんなに若くないけど・・・」と思ったが、口にはしなかった。

その河原、名前は分からないが可愛い桜もあったりして、身軽になった僕は写真をパチパチと撮った。太陽が気持ちいいので寝転んでいると、さっきのおばちゃんがお盆に麦茶を乗せてやってきた。「寒いでしょ、これ飲んで温まって」だって。・・・なんて優しいんだろう。ここのちょっと先の大法師公園で桜祭りをやっているから絶対に観に行きなさいと言われた。先を急いでいない訳ではないが、勧められたものを見ないで行く程あくせくはしていないさ。麦茶を頂いてから、観に行く事にした。

小さな山の天辺にある大法師公園(おおぼしこうえん)。桜はもう散り際な感はあるが、二千本の桜があるらしい。朝の8時前、出店もたくさん出ているが、みんな準備中。準備完了しそうなお店を選んで、おばちゃんに春巻きを揚げてもらった。今日の朝ご飯。


遠くに南アルプス。ここは山梨県。ホントなら今頃京都。今は山梨県の桜を観ている。そしてこれから目指すのは静岡県。ホントなら今頃京都の桜。なんでだ?・・・うん、こんな旅だ。

カメラマン失格

2010-04-07 19:02:28 | 2010春紀伊半島ツーリング~旅日記
山梨から長野に入る頃、シールドに雪が当り始める。
八ヶ岳のサービスエリアで休憩。小雪がちらつくという感じではない。本気の雪が空から落ちてきている。
言っても三月の終わりだ。三月の終わりと言えば、もう春だ。ここは標高が高い。標高が高いから雪が降る。つまり、ここを耐えれば、春ゾーンに入れる。幸い、道の両脇は真っ白になり始めてはいるが、道には雪はない。ここはちょっと急ごう。積もってしまったら、数メートルも走れない。バイクとはそういうものだ。

小淵沢を過ぎた辺りから、道路以外の風景はすべて真っ白という状態。でも、道路はまだ大丈夫。相当寒いが、寒さも忘れる。すごい雪だ。
諏訪南インターの手前に一旦停止の合図が出ている。道路管理の人が前の車のタイヤを眺めて何か言っている。そう、まさかのチェーン規制。つまり、この先は雪が積もっているので、スタッドレスタイヤもしくはチェーンを装備した車両しか進めませんということ。

まさか、まさか、まさか。出発してわずか5時間にして、旅の計画が・・・。

渋々もなにもない、高速を降りるしかない。降りる。降りるよ。朝になって明るくなり始めた。雪はジャンジャン降っている。
中央高速道路ってのは、高地を通っている。高地のさらに高い場所に道路が造られている。
高速のゲートを通過して一般道へ。一般道へ下りるために山を下りる。その道が恐い。気温を見ると零度。零度ってことは・・・道が凍る。濡れている場所は凍っている可能性大だ。そして急な坂道、曲がり道。またもや、寒さを忘れる。慎重に慎重に。

とりあえず、国道20号に出た。今回の旅は近畿地方を回る旅。ということで、ツーリングマップル関西しか持っていない。長野山梨の地図は無い。自分がどこにいて、どこへ向かえばいいのかが分からない。さてどうする?
ここでiPhoneの登場なのである。バイクを停めて、雪の降る中、iPhoneの地図を開く。GPS機能を使って、瞬く間に現在地を確認。デジタルコンパスで、自分が向いている方向も確認。さぁ、これから辿るルートを確認。

関西へ向かうには・・・山を越えるしかない。雪はじゃんじゃん降っている。山は無理だ。そして、ここも山だし。雪を避けるには、山を下りるしかない。山を下りるルートは・・・。やっぱりね・・・戻るしかない。甲州街道を甲府方面へ、甲斐の街から海へ向かう方法しかない。雪宿りでもしていれば、昼には雪は止むかもしれないが、何しろここは朝の一般道。避難する場所なんてありはしない。そう、高速のサービスエリアのありがたさをまた思い知る。
高速道路で駆け抜けてきた道を一般道で戻るなんて・・・悲しくはあるが仕方が無い。とにかく早く雪山から下りたい。

写真は、どっかの道の駅(もちろん早朝なので閉店中)。まだ雪は降っているが、心に少しだけ余裕が出て来たので写真を撮る事ができた。
本物の恐怖の中では写真を撮ることが出来ないんだね・・・実感。・・・戦争の報道カメラマンってすごいな。オレはカメラマン失格だな。・・・あっ、オレカメラマンじゃなないし。

トニートニーチョッパー

2010-04-07 17:38:36 | 2010春紀伊半島ツーリング~旅日記
ETC割引ってのがあって、それを使えば、何処へでも千円で行けるってわけで。でもそれは、土日だけだったりするわけで。

旅の準備を始めたのは日曜日の午後8時過ぎ。のんびりしてたら午後10時。そこらへんから本気を出して準備。
5ヶ月振りのバイクキャンプツーリング。当然のことながら、あれはどこだ?これはどこだ?ということになる。これはもう、大仕事の様相。大体から、もう三月の終わりなのに寒い。上着にさえ迷う。二日間くらいは寒いだろうが、寒波を乗り切れば春の陽気になりそうだ。そこで、真冬のジャケットではちょっと辛い。だがしかし、この寒さを春用のジャケットで600キロもの距離を真夜中に走るのは自殺行為だ。迷う迷う。

バイクに荷物をくくりつけ、エンジンの暖気もそこそこに、アクセル全開で走り始めたのは、午後11時53分。タイムリミットまで後7分。

ETCのゲートをくぐったのは午後11時58分。ギリギリ間に合った。この2分の差が一万円だと思うと・・・。恐い。
気温は4度弱。・・・11月のツーリングより寒い。結局選んだジャケットは11月に着た真冬用のB3ではなく、春用のシングルライダース。これから山を越えることを考えると・・・先が思いやられる。

順調に走り続ければ、どんなにのんびり進もうと午前中のうちに京都にたどり着ける。京都の桜を眺めたら、そこから南下、和歌山に抜ける。それが僕が描いた漠然としたプラン。まぁ、先の事は行き当たりばったりで構わない。

高速道路はいい。サービスエリアがあるからいい。無料のお茶があるとか、夜中でも食べ物があるとか、そういうことじゃない。無料で暖かい場所に居られるってのが重要なんだ。

知らない間に、ご当地キティやマリモッコリに混ざって、ご当地トニートニーチョッパーなんてのが出現していた。これは欲しい。全種類欲しい。一個も買わなかったけどね。

「トニートニーチョッパー、オレ、頑張る!」




僕の旅の話

2010-04-07 15:16:39 | 2010春紀伊半島ツーリング~旅日記
同じ夢を二度見たら・・・それはお告げだ。

これはサンチャゴの話。
羊飼いの少年サンチャゴは、ピラミッドのそばに眠る財宝の夢を二度見る。そして、自分の全財産である羊を全部売り払い、旅に出るのであった。
これはアルケミストの話。

同じ夢を二度見たら・・・それはお告げだ。お告げには従わねばならない。従うか従わぬかは自由だが、従わねば、ピラミッドのそばで旅人を襲う盗賊のようになってしまう可能性がある。

同じ夢を・・・僕は二度見た。だから僕は・・・旅に出た。

同じ夢を二度見たから・・・僕は旅に出た。
これは、僕の旅の話。