畑である。草をむしる。地べたに這いつくばって草をむしる。10年前の自分だったら考えられない。なぜ地べたに這いつくばる?それはね、そこに草が生えているから。
軽トラがやって来る。こーの爺である。ちょこちょこと僕の畑へやって来るコーノ爺である。
コーノ爺は、僕の願いをなんでも叶えてくれる。
耕運機が壊れたと僕が言うと、僕の耕運機をどこかへ持って行って直してきてくれる。
チェーンソーが壊れたと僕が言うとら僕のチェーンソーをどこかへ持って行って直して持ってきてくれる。もちろん、有料で。
肥料を作るために珈琲カスが欲しいと僕が言うと、知り合いの喫茶店から珈琲カスを貰ってきてくれる。
ウコンの苗や、パンダ豆の種や、ゼンマイの苗を持ってきてくれる。
軽トラに乗ってコーノジーがやって来た。久しぶりである。
コーノジーとよもやま話。雑談。世間話。
話がコロナウィルスの話になる。
やれ隣町でも感染者が出たとか、隣の隣の町でも感染者が出たとか・・・。
そこで、僕はハッとする。
あっ、コーノジーは一日中色んな人のところを回ってウロウロと過ごす人じゃん!もしかしたら、コロナウィルスに感染してるかもしれないじゃん。
そう思ってしまうともう怖い。
コーノジーとの距離を少し開ける。さりげなく少し開ける。
それからしばらく話していたのだがね、二人して同じことを思っていたのかもしれなくてね。
僕もコーノジーもジリジリと二人の距離を開けていくものだからね、最終的に5メートルくらいの距離が開いちゃってね。5メートル離れると、もう会話をしていることが不自然になってしまってね。
最終的に、コーノジーが「じゃ、お互いに気をつけましょう」なんて言っちゃってね、帰って行ったんだよ。
人と人との関係を、こんな風にしてしまうコロナウィルス。怖いよねぇ。
世界はどうなってしまうんだろう?
せめて、無能過ぎる政府に、救世主が現れてくれたりしたら・・・いいのになぁ。
とかね。