男ならば、という言い方はあまり良くないご時世ではあるが言わせてもらおう。
男ならば、溶接くらい出来なきゃダメだと思わない?
まぁ、僕は別にそうは思わないのだがね。
溶接したいなぁ・・・というのは常々思ってはいたのだがね。
溶接はしたいが、溶接したいものがないというのが現実だったりして、今まで溶接とは縁がなかったというわけなのである。
「溶接したいなぁ」と僕は言った。数年前の話である。
数日後に、僕の家にほぼ新品の溶接機が届いた。持ってきてくれたのは瓦屋の親方である。「これで溶接をマスターしておいて」と言っていた。数年前の話である。
数年間、ずっと、溶接機が家にある。全然使っていない。だって、溶接のやり方がわからないんだもの。
もちろん、ちょっとはやってみた。マスターしろと言われたから。やってはみたが、全然出来なかったからすぐにやめた。親方には、マスター出来なかったと伝えた。
数年経ってしまった。数年前に溶接用に買った鉄筋の束が、コロンコロンと転がった。
「溶接、やるか!」
2021年の決意である。
オーホリジージに言ってみた。
「ねぇ、溶接教えて」
オーホリジージが家に来てくれた。オーホリジージはほぼほば目が見えていないので、溶接の実演は出来ない。ほぼほば見えていないのに車の運転をしているので、ちょっと怖い。田舎あるある。この前は「信号の緑が見えない」と言っていた。かなり怖い。田舎のおじーあるある。
オーホリジージの講釈が始まった。僕は溶接棒をつけたビリビリ出るやつを右手に持って、目潰し防止のお面を左手に持って、待っている。聞いている。「そんで、どうやるの?」
オーホリジージの講釈が続く。すごく長い。ホントに長い。全然溶接やらせてくれない。しまいには車はにメモ帳と鉛筆を取りに行って、紙に書いて説明をし始める。全然溶接やらせてくれない。
「ねぇ、そんな御託はいいからさ、早く溶接やろうよ」なんてことは言わない。僕くらいのおじーマスターになると、ちゃんと空気を読むのである。おじーは講釈を邪魔されると怒る。場合によってはブチ切れる。おじーの講釈の邪魔をしてはいけない。だから、ひたすら、待つ。溶接ビリビリ棒とお面を持って、相槌を打ちながら、ただひたすらに待つ。
なんだかんだと話したりパチパチしたりして、オーホリジージの結論は・・・
「こんなオモチャの溶接機じゃダメだ」であった。
しかし僕の2021年の決意は「溶接やるぞ!」なのである。
オモチャの溶接機しかないのならば、そのオモチャでなんとかするしかない。溶接の原理とやり方は学んだ。あとは、実践あるのみ。
鉄筋切ったり削ったり、くっつけたりくっつかなかったり、また切ったりくっつけたり・・・。
たぶん、少しずつ上手くなり、たぶん、少しずつ頑丈にくっつくようになり・・・
溶接作品第一弾、鉄筋で作ったテーブル!
さて、次は何を作ろう。何を溶接しよう。・・・全然思いつかない。ははは。溶接、終わりか?